閑話休題 護衛 ページ43
伊地知潔高side
*
唐突に切れた電話片手に、私は深いため息を吐いた。グリグリとこめかみを押して、タブレット端末で手の空いている二級術師に連絡を入れる。
送ったメッセージにすぐに返信してくれた彼は、たまたま高専の近くにいてあと十分もせずに高専に着けるという。
こうなってしまえば仕方が無い。相手は学生とはいえ、一級術師だ。彼女の采配を信じるよりほかに無いだろう。
急いで車に飛び乗り、高専直轄の病院へと走る。伏黒津美紀という少女は、そこで静かに眠り続けていた。
西陽が差す清潔な病室の中に、青白い少女の体がベットシーツに溶け込むように横たえられている。
そっと近付くと、ベッドの隣に置かれたパイプ椅子に腰掛けた。健康とは言えないが、相変わらずの穏やかそうな寝顔に安堵の息がもれる。
コンコン、と丁寧なノック音が聞こえた。
「的場です、伊地知さんいらっしゃいますか」
「はい、どうぞ入ってください」
先程自分も入ってきたばかりの扉を開けて、二級術師が病室に入ってきた。腕時計を確認すると、まだ連絡してから5分しか経っていない。どうやら本当に高専の近くに居たらしい。
「お休みのところすみません」
「いえいえ、お気になさらず。それより…この子がメールで仰っていた護衛対象、ですか?」
「はい。伏黒津美紀、17歳。原因不明の呪いにかかり、現在は意識不明の状態です。別の呪霊から重複して呪われている可能性が出てきたため、護衛をお願いしたいのです」
「なるほど、了解しました」
コクリと1つ頷いて、的場さんが「一応、帳をお願いします」と私を見る。
私は急いで病室の窓から外を確認した。
「いえ、帳はまだ…」
降ろせません、と言おうとした、そのとき。凄まじいスピードで呪力の塊のようなモノが病室に突っ込んできた。
当然の如く窓は割れ、ガラスが弾け飛ぶ。的場さんはとっさに飛び込んできたモノを祓おうと、服の下に隠していた暗器を取り出して振り上げた。
「ちょ、ちょっと待ってください!!」
慌てて的場さんの前に飛び出す。すんでで振り上げた手を止めると、訝しげに私を見た。
「伊地知さん、どういうことですか?そこを退いてください!」
「いえ、コレは呪霊ではありません!とある術師の術式ですので、攻撃しないよう、間違っても祓わないようにしてください!」
「術式?」
私の背後でふよふよと浮かんでいる、Aさんの"付喪神"を見やった的場さんが疑わしそうに眉を寄せた。
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五条「強くなってよ。僕に置いていかれないくらい」
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