閑話休題 記憶 ページ17
伏黒恵side
*
「あの…その子、このまま1人にしてて良いんですか」
苛立ちを腹の底に押し込めて、俺は五条先生を見上げた。五条先生は「余裕でダメだけど」と真顔で返してきた。余裕でダメって何だ。
「高専広いからね〜。A方向音痴だから直ぐ迷子になっちゃうし。Aが行方不明なんかになったらアヤメに怒鳴られそうだし」
また知らない人の名前が出てきたが、スルーすることにした。だって面倒臭い。
少女はキョトンとした顔で五条先生を見上げていたが、不意にその丸い瞳を俺に向けた。しかもキラキラという効果音付きで。
『知らない子!悟くんのカクシゴ!?』
「バカなんですか」
「純粋って言いなさい」
隠し子の意味を分かって使っているんだろうか。多分、分かってなさそうだ。
五条先生は「違うよ〜」と少女の目の前で手をヒラヒラさせた。
「こちら、伏黒恵くん。高専に入学したらAの同級生になる予定」
『そうなの!?じゃあお友達だ!』
早くないか。俺は名乗られてすらいないぞ。
少女は丸い瞳を大きくさせて、俺の顔を覗き込んだ。かなりの至近距離で。まさに好奇心の塊としか言えない。
『私は銀野A!小学4年生!』
「…俺も、小4」
『じゃあお友達だ!!』
「……」
「恵、その物言いたげな視線を僕に向けるのやめてくんない?」
少女…銀野Aは唐突に俺の手を掴むと、ニッコリと満面の笑みを浮かべた。
『よろしくね!』
ほぼ一方的に求められた握手は、俺の意思と関係無く既に交わされてしまっていた。
あの日、銀野に抱いた「元気と好奇心で構成されたやたら無敵感の強い同級生」 という印象は、色々付け足されてはいるものの、6年経った今でも変わることはない。
あの日と同じ満面の笑みで拳を突き返す銀野を見ながら、懐かしい日を思い出した。
*
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今日の名言or名場面
五条「強くなってよ。僕に置いていかれないくらい」
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