【呪術廻戦】最強の義妹は塩にぎりがお好き〜呪術甲子園・起首雷同編〜 (ページ16)

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閑話休題　少女ページ16

伏黒恵side
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グラウンドに駆けていく銀野の背中を見ながら、ふと思い出したのは５、６年も昔のこと。

アイツと初めて会ったのはいつだったか。確か９歳とか１０歳のころだったはずだ。

五条先生は俺が将来呪術師として働くことを担保に、高専からの生活援助を通してくれた。その関係で、たまに俺の家に遊びに…いや、高専のことや呪術師のことを教えに来ることがあった。

といっても大抵は授業をサボりたいからとか任務をサボりたいからとか、そういう理由だろうが。

ある日、唐突に言った。「そろそろ学校見学してみない？」と。

別に行きたかったわけじゃない。勝手に行くことにされただけだ。

気付いたら補助監督の人の車に乗せられて、高専に連れていかれていた。今思えば誘拐とさして変わらない気がする。なぜ過去の俺は抗議しなかったのだろう。

…とにかく、俺はそのとき初めて高専の中に入ったのだ。だだっ広い、学校らしさの欠片もない場所だと思った。とにかく寺やら神社やらが多すぎる。あと、そこかしこから"呪い"の気配を感じる場所だった。

「気味悪いですね」

「人の学び舎に向かってそんなこと言う？失礼にも程があるでしょ」

「…アンタには言われたくなかった…」

「ウゼェー！」

何このガキ！と頭を掴まれた、ときだった。

『悟くん？』

「…！」

金色の髪を後ろで半分結んだ(ハーフアップというらしい)少女が、神社と寺の間からひょっこりと顔を出していた。

「あれ、Aじゃん。まさか１人？」

俺の頭を鷲掴んでいた五条先生はパッと俺から手を離すと、その少女に近付いた。仕方ないから俺も付いていって…

動けなくなった。あまりの"重さ"に体が拒否反応を起こしていたんだろう。当時は何で自分が動けないのか、何で五条先生はサラリと彼女に近付けているのか分からなかった。

ひたすら息苦しかった。

『ううん、お姉ちゃんと来たんだけど、しょーこちゃんと歌ちゃんに捕まったの』

「ああ…硝子と歌姫か。じゃあ今は１人？夜蛾センは？」

『夜蛾先生は教室にいるよ。待っててって言われたけど、暇だったから散歩してたのー』

「あーそりゃ夜蛾セン、ブチ切れてんね」

どうしてくれんの、何て言いながらワシャワシャと少女の頭を撫でた。

その瞬間、体が一気に軽くなった。ハッ、ハッ、と荒く息を吸う。五条先生は俺を振り向くと、「ラクんなった？キツかったっしょ」とニヤニヤ笑った。…不覚にもその綺麗すぎる顔を殴りたくなったのは仕方がない。当たらないのは分かっていたけども。

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