第十六話 過去 ページ20
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私はよく覚えてないけど、私が3歳のとき、私の家を呪霊が襲ってね。
お父さんとお母さんはそのとき、呪霊に殺されちゃったみたい。
お姉ちゃんは必死に私を守ろうとしてくれて、左腕に大火傷を負って。
ああ、もうダメだ、家族揃って死んじゃうんだってお姉ちゃんが覚悟したとき、たまたま任務で近くに来ていた夜蛾先生が助けてくれたの。
お姉ちゃんはギリギリ呪霊が視えるくらいの呪力しか持ってなかったけど、私は結構呪力があったから、呪霊に狙われやすかったらしくて。
心配してくれた夜蛾先生が、私とお姉ちゃんを揃って高専にスカウトしてくれたんだ。
当時お姉ちゃんは十五歳。両親を亡くしたショックだって酷かっただろうに…私を守るために、私たちの生活補助と私の保護を条件に高専入学を決めてくれた。
まあそれからはエスカレーター式に高専に入学して、呪術師も始めて、今に至るって感じかな。
…パリッとうなぎパイを齧る。もぐもぐ咀嚼して飲み込むと、ココアを飲んだ野薔薇ちゃんが「なるほどね」と呟いた。
「なかなか壮絶な幼少期だなー」
『あはは、確かに(笑)…でも別に、本気で呪術師になりたかったわけじゃない。何となく呪術師になるんだろーなって感じで』
思わず俯く。手の中のうなぎパイを見つめながら、心臓が苦しくなるのを自覚した。
ポツリポツリと話す。二人なら話せるし…話しておくべきだと思った。
伏黒くんも知ってる、先輩方も知ってる、勿論お義兄ちゃんだって知ってる"あの日"の話を。私が言わなくてもいつか、誰かから聞くことになるかもしれないから。
…あの日。まだあれから1年も経っていないけれど、もう遠い昔のような、去年の12月24日。
あの日は私にとって、何てことなく終わるはずの日だった。ただ、呪術界にとっては歴史に残るくらい大きな出来事が起こる日だった。
詳しいことは分からないの。まだ高専生でも無ければ、伏黒くんみたいに呪術師として動き始めてたわけでもなかったし、言っちゃえばただの部外者だったから。
渋谷に大量の呪霊が放たれて。…高専にも呪霊が放たれた。
高専は安全だから、高専に居るようにってお義兄ちゃんから指示を受けて、私は朝からずっと高専のお姉ちゃんの部屋に居た。
お姉ちゃんは生徒たちのそばに居なきゃいけなかったから、ずっと一人だった。だから気付けなかった。
高専内で呪霊が暴れていることと、…その内の一体が私を狙っていたこと。
気付けば部屋の壁を突き破って現れた呪霊を前に、何もできずに立ち尽くしている自分がいた。
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五条「強くなってよ。僕に置いていかれないくらい」
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