もう、忘れよう。

170歩目 ページ41

声が途切れ途切れになる。


手に、頬に、服に、


水が落ちてくる。その水は暖かくてー。


それも少しじゃないし、私の方からだけじゃない。


私の前や左右から水が落ちてくる。


顔を上げると、


そこにあったのは……。


私が皆から抱きしめられていて私だけじゃなくて
皆も泣いていた。


ーさっきから落ちてくる水は皆の涙だったのか。


そう思うと同時に


貴｢ご、ごめんなさい……。｣


謝罪の言葉が出てくる。


泣かせてごめんなさい。


優しい皆だからきっと心配してくれたんだよね。


釘｢バカね！こういう時は『ありがとう』でしょ！
仲間なんだから!!｣


野薔薇ちゃん、涙ぐんでるんだ……。


釘｢ほんっとにありえない!!

A……、A……！

ほんとに辛かったわね…。

苦しかったわね…。


…Aを傷つけるディビジョンが居たら私がトンカチで殴ってやるだけじゃなくて術式開示してやるわ｣


伏｢……なんで善人ばっかり辛い思いすんだよっ…。｣


虎｢俺も色んな事思っててさ、

Aのことを慰めたいとも思うし

そいつらのこと、懲らしめてやりてぇって思うよ。


でも、Aは偉いよ。｣


え、偉い？


なんで……？


今だって3人にこうやって弱音を吐いて…。


虎｢どんなに酷い目に会っても前向こうとしてるじゃん。｣


貴｢っ！｣


その考えは、無かった…。


釘｢私だったら海に沈めるわ。｣


まだ、涙が頬を伝ってる彼女。本当に優しいんだな。


言ってる事は物騒だけど。


伏｢……俺もそう思う。｣


言葉数は少ないけど、私のことを心配してくれるのは伝わってきて。


嬉しさと、申し訳のなさで涙は後を絶たない。

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