もう、忘れよう。

155歩目 ページ26

貴「ごめんなさい。彼氏がいるの。」


有栖川さんから言われた一言は「好きだ、大好きだ。」の二文。


正直、驚いた。


ー皆、愛ちゃんのことが好きだと思っていたから。


少し前の私なら驚き嬉しがっていただろう。


でも、今は心から好きな七海さんがいるし有栖川さんのことをそんなふうに見たことは無かった。


有「知ってるよ。でも、諦めねぇよ。」


そう返事をされ、さっきからずっと押し問答を繰り返してる。


……しかも元の場所に戻りながら。




有「何でだよ、可能性は0じゃないだろ！」



貴「少なくとも、有栖川さんを絶対好きになることはないので。」



有「だっーーー！だから絶対とかねーんだよ！」



貴「し、しつこい…！」



有「それが取り柄なんだよ！」


愛「……Aちゃん。」


急に名前を呼ばれ前を向くと目をしっかりとこちらを見つめた愛ちゃんがいた。


……なんだか私が悪者みたい。


というか、いつからここに居たんだろう…。


愛「っ……！」


有栖川さんと私の微妙な空気を感じ取って彼女は一瞬顔を歪めて、


しっかりと言った。




愛「話そうよ、2人きりでー。」

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