別れちゃったけど……【三ツ谷隆】

美夢ちゃん ページ28

美「ふぇッ？」





私の言葉が予想外だったのだろう、大きく瞳を見開く彼女。






貴「確かに貴女がしたことは許されることじゃない。……実際に私も許すつもりは無い。」







桜色の瞳から涙があふれる。ここでぬぐえたら良かったんだろうけど、彼女のことを許す気にはなれなかった。






貴「でも黙りを決め込まれるよりかは良かった。話してくれてありがとう。



……それに、1番は美夢ちゃんに怒ってるけど……貴女だけに怒ってるわけじゃないから。」








美夢ちゃんのことを何度憎んで、何度許さないと思ったことだろう。







でも同じくらいにタカちゃんにもイライラしてた。








貴「確かに人を殴ったりけったり嵌めたりするのはやり過ぎ。でも……そんな貴女になってしまったことは美夢ちゃん1人のせいじゃない。」







彼女の行動は確かに異常で、思い返すと足が竦むしメールのこともとても怖かった。








でも貴女をそんなふうにしてしまった半分の原因はきっとタカちゃん。










本当ならタカちゃんはデレデレと美夢ちゃんとベタベタせずに諭すべきだった。









お互いの距離について話し合って









『ここからはダメだ』って線引きを決めて







『俺ばかりじゃなく周りにも目を向けろよ』って






初めから言うべきだった。だから






だから








貴「美夢ちゃんが全部悪いわけじゃない、だから全部謝らないで。責任は貴女に注意をしなかったタカちゃんにもあるわけだから。」








美「ッ………！なんでッ……！そんな、に……優しいのッ………！？」








優しい？私が？許さないって言ってるのに？








その場に座り込む美夢ちゃん。まるで私に頭を下げてる様。







美「いつも……、どこかでッ………わかってたのッ！隆は私のッ……事っ……そんな目で見てないってッ！」







美夢ちゃんの瞳からこぼれた涙が床を濡らしていく。









美「あの優しい笑顔をっ………、頭を撫でる暖かい手を………っ、『しょうがねぇなぁ』っていう優しい声もッ………私だけのものであって欲しかったッ…。」






美「彼のことが……隆のことが……大切で……好きで好きで好きで大好きだったの。……堪らなく





隆のことを







愛してたッ………、









愛してッ……欲しかったッ………。」






初めて見る美夢ちゃんの弱々しい表情。








私はへたり込む彼女の顔をただ見つめることしか出来なかった。

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