episode1 ページ2
「あっ、Aちゃん!おはよう!!」
また、今日もかなんて思いながら声の方向を見る。私の知り合いでこんなに可愛らしい声が出る子は1人しか居ないのだ。
こっちに走ってきてくれる可愛らしい女の子…………巻いてる髪が今日も女の子らしさを助長させていて、とても可愛い。
水色の瞳が映えて見える。それはきっと単純に可愛いだではなく、彼女が人を惹きつけている子だからだろう。
食堂の前で落ち合おうといつも決めている彼女と私はこのブルーロック、という施設のマネージャー。
簡単に言うとサッカーのストライカーを養育する施設。
のれんをくぐると突き刺さるのはたくさんの視線。
………………嫌だな、この視線。もう慣れてしまってはいるけどまだ不慣れ。
「みんな、おはよう!!」
横の彼女は私の嫌、という気持ちも露ほども知らずニコニコと笑ってる。
そりゃそうだ。だって私は彼らからの扱いのことを彼女おろか、ここの責任者の絵心さんやアンリさんにも打ち明けられていないのだから。
たまに「困っていることはないか」と聞いてくるけどバレていないことを願っている。
「おっ、おはよう!菜乃花、今日も元気だな!」
「今日も可愛いね〜〜〜、なのっち!!」
2人の言葉に「ありがと〜」と照れる菜乃花ちゃん。照れてるだけなのにその姿はまるでヒロイン。ヒロインとはこのような子を言うんだろうな。
羨ましい。
自然体でいるだけでこんなに愛されるなんて。
私はみんなの為にどんなことをしてもきっと、愛されないのに。
「……………………で?お前はいつまでそこで突っ立てんだよ、邪魔。」
「潔の言うとり、退いてくんない?」
2人の言葉にはっ、と我に返る。2人の視線は蜂蜜のような甘い視線から氷点下のような視線に変わっていた。
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