あとは馬鹿ふたりでご勝手に。【御影玲王】 (ページ4)

今日:4 hit、昨日:9 hit、合計:4,259 hit

episode2 ページ4

〝別に構わないわよ。〟

私の言葉にまるでありえないものを見るかのようにふたりが目を見開く。

どうしてそんな瞳で私を見つめるの？もっと喜べばいいじゃない。
私が『別れてあげる』ことに賛同したんだから。

「西園寺………………！お前、そんな簡単に婚約者破棄ができると思ってんのかよ！！」

「あら、貴方が『婚約破棄だ』と言ったのよ。私はそれに賛同しただけ。問題があるかしら？」

お手本のような笑みで彼の方を向く。

「ひ、ひどぉい！！御影君は今悩んでるのに！！！笑顔で反応するなんてっ！！」

「じゃあどういう顔をすれば宜しいの？」

笑えば『ひっ…………』と後ろに後ずさる彼女。微笑みかけただけなのに酷いものだ。

「お前、本当に本当にいいのか………………？俺と婚約破棄しても後悔しても知らねぇぞ？あんなに俺のこと好きだったのに……………………。」

……………………あぁ本当に気に食わない。その如何にも『お前のことを分かってる』と言わんばかりの態度。
貴方の前で私の気持ちなんて1度も見せたいことなんてない。

「兎に角、貴方達のせいで時間を無駄にしたくないの。どいてくれる？昼休みが終わってしまうわ。」

自分から婚約破棄！！と騒ぎ立てておいていざとなったら『本当にいいのか？』

バカにするのもたいがいにして欲しい。

と言っても『政略婚約』とは普通の婚約のように自分たちの意思で決められたものでは無い。それ故に両親に報告しなければいけない。

私は婚約破棄するつもりでいるけど両親がどんな決断をするかは分からないのだ。

「じゃあ御機嫌よう。」

そう言って私は背を向けた。