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持ってたハサミを奪い取る。………なぁんだ男のくせにこんな簡単にハサミ取られるんだ。ダッさ。
次のことも一瞬のことで。
その手に持ってるハサミを自分の髪に食い込ませる。
バラバラ、と落ちる音が耳傍で聞こえてくるけどそんなこと言ってる場合じゃない。
そう、私は切られる前に自分で切った。
このオッサンに切られるくらいなら、触れられるくらいなら、自分で切った方がいい。
この気色悪いおっさんには私のことは意地でも触れさせてやるもんか、だっていきなり言いがかりつけられて、罵倒されて…………。
こっちだって少しは反撃しないとバチが当たるでしょ。
いきなり私の空気が変わって驚いたのだろう。オッサンがよろよろと右往左往し始めた。
「ガタガタうっせぇんだわ。黙って聞いてりゃ何?
お前の物差しで私の物事測ってんじゃねぇよ。
………私別にテメェの言いなりでもなんでもねぇんだわ。」
「き、貴様正気か、」
髪のことをガタガタ言うから髪を切ってあげたのに一気に青ざめるオッサン。
ダサすぎて鼻で笑える。
「正気も何も………ほら、アンタが見たがった髪を切った私。さっさと切ってくれないから、自分で切っちゃった。
目ェ逸らすんじゃねぇよ。こっちみなさいよ。」
目を逸らそうと下から頬をガっと掴んでやった。
そしたら、ペタンとオッサンが座り込むというか尻もちを着いているじゃないか。
私はグッと拳を握りしめた。
「きょ、虚勢を晴れるのも今のうちだ!!女の髪ごときでここまで騒ぎ立てよって、貴様のような育ちも下賎なものなどいなくなったところで構わんわ!!」
「女は髪の命なの、そんな私の髪を粗末に扱ったんだ!!お前の命の覚悟は出来てるんでしょうね!!!」
気づいたら私を後ろで羽交い締めにしている同期と馬乗りになってる私。
それと私に今度こそ怯えきってこちらを見ているオッサンの姿があった。
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