episode2 ページ3
彼の爪を見て想う。
『爪のように彼の想いも塗り替えられてしまった』のだと。
新しい、綺麗に塗られた紅色の爪を心底嬉しそうに大切そうに見つめる加州。
…………私が塗った爪もあんなふうに綺麗だったらあんな顔をしてくれたのだろうか。
いつも薄ら笑いのような、気遣った笑みしか見たことがなかった。
「よくよく考えればさ、ほら主って可愛くないことはないんだろうけど…………あんまり女の子らしくないじゃん。」
彼の言葉に賛同するように近くに座っていた三日月が口を開いた。
「その点、見習いは可愛らしくて控えめ、淑やかだ。主とはえらい違いだな。俺も見習いの方が人となりは好感が持てる。」
『そ、そんなことないですっ!!』と可愛らしく小さく首を横に振る見習い。
見習いさんは女の私から見ても可愛らしくて、小動物のような、小柄な手を貸してあげたくなる、まるで『女の子』の理想を詰め込んだようなそんな人。
性格も可愛らしくて、穏やかで、淑やか。そしてオマケに芯が強いところもあるらしい。
らしい、というのは私が近侍から聞いた話だから。
…………………思い返せば、この頃の皆の話の中心は彼女だったな、と思い出す。
昨日の近侍の安定だって『主、もう仕事ないならもう部屋に帰って良い?見習いと約束してるんだよね。』と近侍とは思えないような発言をしていた。
近侍って主のそばに仕えるものじゃないの???
あと、朝餉のメニューや昼、夜のご飯もどうやらこの頃女の子が好きそうなメニューになっていたな。
そう考えると、ご飯を作る係のみっちゃんや歌仙も向こう側、ということになる。
短刀のみんなもこの頃『主様』ではなく『おい』『ねぇ、』『アンタ』など呼ばれていたな。
それを比例するかのように『見習い様』とだんどんと敬愛するかのような声が上がっていた。
426人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
翠海(プロフ) - 続き待ってます!! (5月7日 19時) (レス) @page4 id: 1e3269588f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ