・ ページ2
・
口元も、目元もちゃんと笑ってる。綺麗な笑顔。でも、表情が暗いのが伝わってくる。
それにサキュバスの私には雰囲気も伝わってくる。だからこそ、加賀美さんが本心で笑ってないことくらいすぐに分かる。
加「私の身体が半分人間であることは知っていますか？」
「一応知ってます。」
加「その影響で髪の力も半分しか使えませんし、魔法使いとしての魔力も半分しかないんです。私が同じ種族と結婚したところで人間の力は4分の1も残る。力が弱ければ人間からの信仰心も弱まるし種族全体の力が落ちるんですよ。」
「え、じゃあ何で私と結婚なんて、」
加「信仰心が大きければ力も強まります。貴方と結婚して能力を使ってもらえば恋愛感情を操作して信仰心を高められる、父はそう考えてるみたいです。」
あ、だから私と結婚しろって言ってるんだって、そう思ったのと同時に加賀美さんの父親に嫌悪感を抱いてしまう。
私は自分の種族は好きじゃないし、能力で操作するなんてそんな使い方したくない。
自分のために私を利用してるってところが最高にムカつく。
こんな事を考えていたのが表情に現れていたのか、加賀美さんは申し訳なさそうな顔を私に向けた。
加「こんな考えを持つ父に従っている私のことなんて嫌いになりましたか？」
「嫌いにはならないです。」
加「今ここで、Aさんにかけた能力を解除してもですか？」
加賀美さんにそう聞かれて言葉が止まった。
正直なことを言うと、加賀美さんのことを好きじゃない状態で同じように言えるかは分からない。嫌悪感は抱いてしまうかもしれない。
それでも、
「加賀美さんと加賀美さんのお父さんは……、別々の人なので、加賀美さんのお父さんを嫌いになったからと言って加賀美さんを嫌いになるわけじゃないです。」
加「……ッ、」
親のことで嫌いになるなんてことはしない。
そう思って、それを声に出した瞬間、ずっと笑顔だった加賀美さんの顔が歪んだ。
今にも泣くそうなくらい眉を顰めて私から顔を背けた加賀美さんは「ちょ、っと、待ってください……」なんて言いながら表情を隠すように手で自分の顔を覆う。
泣きそうな顔だって、暗い顔に含まれる。でも、今までみたいな取り繕った笑顔が私の言葉で剝がれて、その顔を見たくなってしまって、加賀美さんの顔を覗き込んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2533人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
葵 - この作品マジで私が出会ってきた作品の中で一番好きです！ (2月10日 22時) (
レス) @page38 id: 69a42b17dc (このIDを非表示/違反報告)
黒柚木 - 一気読みしました！kidとrlnの登場がうれしすぎます…！次回も楽しみにしています！ (2月7日 12時) (レス) @page33 id: 5e10f7df77 (このIDを非表示/違反報告)
ペン(プロフ) - はじめまして、いつも楽しく見てます！！まさかの幼馴染に発狂しましためっちゃ好きですありがとうございます。これからも楽しみにしてます！ (1月27日 23時) (レス) id: 5e2227c856 (このIDを非表示/違反報告)
蛙猫(プロフ) - 逆ハーレムのお話の中でもとても面白い作品でした。 (11月5日 13時) (レス) @page30 id: 94cbed9533 (このIDを非表示/違反報告)
(^o^)/(プロフ) - 本当に本当に主様の作品が大好きです。この作品一生愛します (11月3日 18時) (レス) @page30 id: b873b0040b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もも
| 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/Momo_UxxU_
作成日時：2023年2月4日 19時
