22:甘蜜な感情 ページ44
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朝、部屋まで迎えに来てくれた不破さんは私の顔を見て心底驚いたような表情になって、その後すぐに笑い始めた。
不「な、なんでそんな……、ちょ、まって、」
「何でそんなに笑うんですか。」
不「だってクマえぐいよ?葛葉みたいになってるやん!」
別に不破さんは悪いことなんてしてないのに目不足のせいか妙に苛立ってしまう。そんな気持ちを隠すためにすぐに部屋を出て、不破さんより先に歩き始めた。
加賀美さんが帰った後も、いや、今もずっとあのキスの感触が忘れられなくて、鮮明に記憶に残り続けてる。そのせいでなかなか寝付けなくて目不足になって笑われるなんて最悪の状況だ。
この感情を膨らませないためには加賀美さんに会わないのが1番なんだろうけど、能力を解除するようにお願いしなきゃいけないし、話したいなんて気持ちが心の隅に居座り続けている。
恋愛してる子ってこんなに悩んでたんだって、改めて人の好意を利用してる自分の種族に嫌悪感を抱いてしまう。
不「笑いすぎたから怒ってるん?ごめんって〜、許して?」
「や、別にそういう訳じゃなくて。」
不「でもさ、Aちゃん、今顔めっちゃ怖いよ?」
「え?」
不「何か気に喰わんことがあったって感じ。」
不破さんにそう言われて顔を手で撫でるように触る。
こんなことしても自分が今どんな顔をしているかなんて分からないけど、周りに分かるくらい表情が怖いなんて、そんなので加賀美さんに会うとかできない……、あれ、
「うわ……」
不「んえ?どしたん?」
「なんか変なこと考えちゃっただけです。早くご飯食べに行きましょ。」
不「それならいいけど。」
普段と様子が違うことは不破さんにも伝わっているのか、これ以上は踏み込まないように話題を変えてくれた。が、会話の内容が全然頭に入ってこない。
可愛くない顔で加賀美さんに会いたくないとか、そんなことを無意識の内に考えてる自分が怖くて。でも、この感情は妙に心地が良くて。
能力を使われてまだ1日も経ってない。
それなのに、
加「あ、不破さん、Aさん。おはようございます。」
不「おはよ〜、社長。」
「お、はよう、ございます。」
何でこんなにも胸が苦しくて高鳴るんだろうか。
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作者名:もも | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/Momo_UxxU_
作成日時:2023年1月7日 21時