【逆.ハ.ー】純.欲サディスティックナイト (ページ38)

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19:早朝の遭遇ページ38

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昨日のことがあって寝つきが悪かったせいかまだアラームも鳴ってないのに目が覚めた。

さっき首の絆創膏を剝がしたら怪我は綺麗に消えていて、手当てしてくれた加賀美さんが治癒魔法でも使ったんだろうな、なんて考えながら窓からボーっと外を眺める。

6月上旬だから昼間は暑いのに明け方はやっぱり寒いなぁって思ってブランケットを羽織ろうと立ち上がった時、視界の端で何か黒い物体がこっちへ近づいてくるのが見えた。

びっくりして急いで窓の縁に手をかけて身を乗り出すようにそれを見る。

「……え？」

葛「うわ、まじか、最悪。」

近付いてきた物体は羽を広げた葛葉さんだったらしくて、鳥か何かだと思ってたから知ってる人が飛んできてびっくりする。

こんな時間にどうして出歩いてるのか気になったけど葛葉さんが飛んできた方向に別の寮があることに気付いて、私に気付かれないように窓から抜け出したんだって察する。

よく見ると首には気付かない人もいるだろうってくらい薄く跡がついていた。

「女の子のとこ行ってましたよね？」

葛「いや……ただ散歩みたいな感じで……」

「首に跡つけられてますよ。」

そう言って首元を指差した私を見た葛葉さんは掌で自分の首元を覆い隠しながら「勝手なことしやがって……」なんてグチグチ文句を言い始めた。

最近みんな妙に帰ってくるのが早いとは思ってたけどよく考えれば羽が生えてる種族が飛べるなんて当たり前のことだ。空飛べるんだから窓から抜け出すくらい容易い。

私もたまに飛ぶのに何で気付かなかったんだろう、なんて気付かなかった自分を悔やんでると葛葉さんが窓の縁に座った。

葛「言っとくけど俺だけじゃねぇから。叶みたいに堂々と玄関から出てくやつもいれば社長みたいに窓から抜け出してるやつもいるから。」

「そうだ……魔法使えば羽なくても飛べるんだった……」

そう言って落ち込んでる私を見て葛葉さんは「はぁ？」なんて困惑した声を漏らした。

葛「社長は別に魔法なんか使わなくても飛べんだろ。」

「え？」

葛「神と人間のハーフだから羽なくても普通に飛んでるし。」

早朝でみんな寝てるのに葛葉さんの言葉に驚いて「え！？」なんて大きな声が出て急いで口を手で塞ぐ。

そういえば理事長から資料を見せてもらった時に、魔法使いっていう記述の後に(半神)って書いてたような気もする。ちゃんと見てないから記憶は不鮮明だけど。