【逆.ハ.ー】純.欲サディスティックナイト (ページ37)

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加賀美さんに手を引かれてリビングに連れていかれて首の手当てをされる。といっても、深い怪我じゃないし、消毒をして絆創膏を吐てもらってるだけなんだけど。

加「三枝さんも叶さんも……何してるんですか。」

叶「僕らも仲良くしたいな～って思って部屋に呼んだらAちゃんが能力使うんだもん。社長だって"誘惑"の効果知ってるでしょ？」

加「だからって言って怪我させるのは駄目ですよ。」

うまく言葉を濁しながら説明する叶さんを睨むけどニコニコと笑われるだけ。

三枝さんは加賀美さんに言われてから私を怪我させたことに気付いたみたいだし、それに気づかないレベルで欲が優先されたことに逆に感心してしまう。獣人の方が効きやすいとは言うけどここまでとは思ってなかった。

明「ごめん、怪我させるつもりは本当になくて。まず爪出した記憶もないし。」

「いや、私も悪いので気にしないでください。」

明「それならいいけど……」

ほっといても数日で治るくらいの軽い傷なのに三枝さんはすごく申し訳なさそうな顔をしていて私の方が何だか罪悪感を抱いてしまう。

やっぱりこんな能力いらない、なんて考えてると加賀美さんに「Aさんもですよ。」なんて言われた。

加「制御できるまで使うのは控えてください。ただでさえ前の効力も残り続けてるし、Aさんが近くにいるだけで能力に充てられるんですから。」

「え、でも私普段は使ってない……」

叶「無意識の内とか抑えきれないとかじゃない？」

加「ちゃんと講義に出て制御方法学んでくださいね。監視役になってからも実践訓練には参加してないって理事長がぼやいてましたよ。」

サボってることがバレて口を閉ざしてしまう。

全員学年も違うし別にバレないだろうと思ってたのに理事長からバラされるなんて考えてなかった。問題児に他の問題児の監視役を命じる人だもん、勝手に話すのは不思議な事じゃない。

加「とりあえずAさんは部屋に戻って、おふたりは水でも飲んで落ち着いてください。」

明「……はい、」

叶「は～い、じゃあおやすみ、Aちゃん。」

加賀美さんに背中を押されて階段へ足を進める。途中で加賀美さんの「確定ではないんですけど1年生が、」なんて声が聞こえたけど早く部屋に戻りたくて歩くスピードを上げる。

何も考えず男の子の部屋に行くなんて警戒心が薄れてるのかもしれない。心の中でそう反省をしながら部屋のドアを開けた。