【逆.ハ.ー】純.欲サディスティックナイト (ページ33)

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慣れた手つきで包丁を扱う黛さんの隣でじゃがいもの皮むきをしながら2人の様子を見つめる。あれから5分以上経ってるのにまだ言い合いしてるし、2人の間にバチバチと火花が散ってるのが見える。

そんな様子を観察しながら苦笑いをしてると、黛さんに手を握られた。

「……へ、」

黛「それもう皮剥くとこないよ？」

「わ、本当だ。全然気づかなかった。」

別のことを考えながら作業してたせいで、もう皮の残ってないじゃがいもにピーラーを当ててたらしい。

自分から手伝うって言ったくせにやらかしてることにショックを受けながら「すみません。」なんて謝る。

「そう言えば黛さんって料理上手なんですね。」

黛「うん。施設にいた頃はよくご飯作ってたからね。」

「施設？」

黛「そ、この学校に入るまで施設にいたんだ。親いないし身寄りもないから。」

普通そうに話してるし表情も全く変わってないけど私の手を掴んでる手の力が少し強くなったのを感じる。

不破さんもだけどここの寮生って自分の本心を隠すのが上手なのかもしれない。色んな女の子と同時に遊べるってことは本心を隠した上で笑顔や感情を作るのが上手ってことなんだろうし。

黛「だから大勢でいる方が好きだし不破くんがすぐ寮に帰ってきてくれるのは嬉しいんだけど、愛城さんのことしか見てないんだよね。」

「あ、それは、」

黛「だからちょっと妬いてる。」

私に対してなのか、不破さんに対してなのか分からなくて困惑した表情をしてると、黛さんはそんな私を見て「愛城さんと話す時間減ったからだよ。」なんて笑いながら言った。

友達を取られたみたいで嫌だったと思ってたけど違ったのか、って考えながらまだ皮を剥かれてないじゃがいもに手を伸ばそうとする。が、黛さんに顔を覗き込まれてその手が止まった。

黛「不破くんだけずるいって、俺も嫉妬してるから。」

嫉妬してるってこんなド直球に言われたことなんてないから返答に困ってると、私と黛さんの距離が近いことに気付いた不破さんが間に入ってきた。

後ろから私を抱き締めて黛さんに視線を向けた不破さんは「距離近いよ。」なんて言う。

黛「不破くんの方が距離近いけど。」

不「俺はいいの！秘密共有してる仲やし！」

そんな子供じみたことを言ってる不破さんに呆れた視線を送りつつ、再びピーラーを手に取って皮むきを再開した。