【逆.ハ.ー】純.欲サディスティックナイト (ページ27)

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13:恋心の片鱗ページ27

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私に抱き着いたまま泣いていた不破さんは急に顔をあげて、何の迷いも悲しさもないような明るい笑顔を私に向けた。そんな不破さんの顔を見て安心してしまう。

自暴自棄になった人間なんて周りにいっぱいいたし、私も私で、そういう人間が最後に望んでいる夢を見せて生気を吸い取ったことだってある。

サキュバスなんて欲につけ込んで堕落させる生き物だ。だからなんとなく堕落寸前の人間が分かる。不破さんは魔力も心の中も真っ黒で、私が生気を吸い取らなかったとしても別の悪魔に狙われそうなレベルだったから、その黒い部分が消えて安心感が湧いた。

ただこれが、不破さんがそうならなくて良かったっていう綺麗な感情なのか、私のせいで不破さんの生気が失われたことを責められるのを避けるっていう自分を守るための感情なのかは分からないけど。

「落ち着きました？」

不「うん、ありがと。」

「それなら良かった。」

でも私が余計に首を突っ込んで悲しませてしまった人間がこんな風に笑ってくれてる状況は心の底から嬉しくて、不破さんを見て私も微笑む。と、不破さんはそんな私を見て掌で顔を隠した。

泣きすぎたり過去の話をして気持ち悪くなったのかと思って顔を覗き込もうとするけど不破さんにかわされて顔を見ることができない。「まじかぁ……」なんて声が聞こえるだけ。

「気持ち悪くなっちゃったとかですか？私お水持ってきますね！」

そう言って立ち上がって部屋を出るためにドアノブを掴んだ私の手に不破さんの手が重なる。

びっくりして身体の動きが止まってしまった私の耳元に不破さんが顔を近づけて「行かんで。」なんて囁かれた。

抱き締められたり押し倒されたり、キスされたり、そんなこと経験してるのに心の奥底から懇願するような声を出されて、今まで以上に心臓がバクバクと高鳴っているのが自分でも分かる。それなのに不破さんは私の肩に頭を乗せきて、聞こえるんじゃないかって心配が沸いてくる。

不「ね、Aちゃん。」

「は、はい、」

不「何もせんって約束するし破らんから、今日一緒に寝てもいい？」

あんな過去を話してくれて、弱い部分を私なんかに見せてくれた不破さんのことを信じてないわけじゃないけど、今の状況で一緒に寝るなんて心臓が破裂してしまいそうで。

黙ったまま私の肩に乗せている不破さんの顔を見ると耳まで真っ赤になってて、さらに結論を出せない状況になった。