【逆.ハ.ー】純.欲サディスティックナイト (ページ12)

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1分も経ってないだろうか、とりあえずリビングに行かなきゃって思って階段を下りる。

あれが本心かどうかは分からない。剣持さんがからかって言ってるかもしれないし、私を堕として好き勝手遊ぶための建前かもしれない。

サキュバスの家庭に生まれて周りからはいつも変な目で見られてきたからそう簡単には落とされない。まず急にキスしたり迫ってくる人を好きになるはずがない、たぶん。

「お、おはようございます。」

不「Aちゃ～ん、おはよ♡」

恐る恐るリビングに入って小さな声で挨拶をすると後ろから来た不破さんに抱き締められて耳に触れるだけのキスをされる。

顔に熱が集まっていくのを感じて急いで不破さんの腕から抜けて距離をとる。と、そんな私の服の袖を引っ張った黛さんに「一緒に食べよ。」なんて言われて昨日座った席まで連れていかれた。

目の前に座ってる剣持さんはにこにこと笑いながらこっちを見てるし、他の人からも妙に視線を感じる。

効果は切れてるのに変に注目されて食事が思うように喉に通らない。でも早めにここから抜け出したくて急いで口に詰め込んでいく。まぁその状況でも叶さんは呑気に「ハムスターみたい。」って言って笑ってるけど元はと言えばアンタたちのせいで肩身が狭い思いをしてるんだぞって文句が頭に浮かぶ。

「ごちそうさまでした！じゃあ私学校行くんで！」

加「どうせなら一緒に行きませんか？」

「いや、私今日1限から別館なんで大丈夫です。」

加「じゃあ別館まで送りますよ。それとも私と一緒に行くのは嫌ですか？」

捨てられた子犬みたいな表情で私を見つめてくる加賀美さんにかける言葉が見つからなくて「い、やでは、ないんですけど、」なんて歯切れの悪い返事をする。そんな返事を聞いて加賀美さんはパァッと効果音が付きそうなほど明るい笑顔になった。

この人が女子生徒に人気な理由がなんとなくわかったような気がする。

叶「じゃあみんなでAちゃんのこと送っていこうよ。」

「え、みんなで？」

叶「毎日別の男連れてるよりはみんなで仲良く登校したほうが良くない？」

加「それもそうですね。」

"能力の使用後はすぐに記憶を消去すること"っていう親からの言葉を思い出してハッとする。

すぐに記憶を消さないと能力を使った時の記憶が残ってこんな風になっちゃうんだって。だから数分間の記憶消去が可能なんだって。

記憶を消さなかった自分を恨みながらまた椅子に座って溜息を零した。