僕の中の奇跡。１ VIXX

006：ケンの見る目。 ページ6

　HONGBIN「ケンは見る目があるんだよ(笑)」
　A「そうかもしれませんね・・・」
　彼女は淡々と答えたまま表情を変えなかった。
　HONGBIN「面倒だから、そんな返事してるでしょ(笑)」
　
　少しでも長いこと話をしたいのに、そんな返事だと話が続かない。
　
　N「ホンビナ！」
　彼女と話をしていると、同じグループでリーダーのハギョニヒョンが立っていた。
　
　HONGBIN「あ・・・」
　
　当然逃げたことに文句を言いに来たか、連れ戻しに来たか・・・覚悟はしたけど隣にいる彼女
　の前ではバツが悪い。
　
　N「もー、何も言わずに出て行くってどうしたんだよ！」
　彼女は近づいて来るハギョニヒョンの勢いにロープを引っ張ってケンを足元に寄せている。
　HONGBIN「後でいいですか？ヒョン」
　ハギョニヒョンも彼女が一緒にいたことに気付いて、頭をさげて挨拶をしている。
　N「ゴメンね、驚かして」
　A「あ、いいえ。私、帰りますので」
　
　N「ね、君もホンビナの歌ってる姿見たことあるでしょ！お願い、応援してあげて」
　A「え？」
　HONGBIN「彼女は、関係ないんです」
　ややこしい話に巻き込んでいる状況を変えたくて、ハギョニヒョンの腕をたたいて関係ない
　と伝えたのに、ハギョニヒョンには、うまく伝わらない。
　見る目があるのかないのかわからないけど、彼女の足元にいるケンが大きな声で吠えている。
　HONGBIN「ヒョン、行きましょう！(困)」
　半ば無理やりハギョニヒョンの腕を引っ張って彼女から離れようとした。
　N「いいよ、彼女がここにいても」
　HONGBIN「あ、そういうことじゃなくて・・・とりあえず行きましょう、ヒョン」
　引っ張ってるつもりが、ハギョニヒョンに反対に引っ張り返されていてその場から動けない
　でいる。
　
　A「助けて・・・あげるこ・・・が出来・・・」
　
　HONGBIN「え？」
　そんなやりとりを見ていた彼女が僕の顔を見て行ってくれたのにケンが吠えてて聞き取れ
　ない。
　
　A「私なんかが何も助けてあげることが出来ないかもしれないけど、応援します！(笑)」
　
　ケンの鳴き声に負けない声で、彼女がそう言ってくれた。
　
　N「あ、ほらぁー、応援してくれる子いるじゃん(笑)頑張らなきゃ！ホンビナぁ(笑)」
　肩をバンバンと叩いて喜んでくれているハギョニヒョン・・・加減がわかっていないか
　痛いんだけど、彼女のその言葉で何か光が見えた気がした。

　

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