僕の中の奇跡。１ VIXX

005：ゆずレモンティーの味。 ページ5

　A「助けて・・・？」
　僕の言葉に、彼女は僕の顔をじっと見た。
　HONGBIN「ううん、冗談(笑)」

　初対面の彼女に僕は何を求めてるんだろ・・・重すぎた言葉に冗談だ、と笑った。

　A「明日も同じ時間にここへ来てもらえますか？」
　変な奴だって思われたのかな、と思って時に彼女がそう言ってくれた。
　HONGBIN「うん、同じ時間に」
　
　A「おじいちゃん達に、あんなこと言って一緒じゃなかったら心配するから」
　HONGBIN「あ、そっちか(笑)」
　少しだけ受け入れてもらえたかと、瞬時に誤解した僕が恥ずかしかった。
　
　A「私、帰るので」
　彼女は、ベンチの足に掛けてた散歩用ロープを外そうとしていた。
　ベンチの足が浮くように持ち上げて、手伝った。
　HONGBIN「僕も帰るから」
　彼女がベンチの端に置いていたおばあちゃんから返してもらったポットを渡した。
　A「ありがとう」
　HONGBIN「この中身は何だったの？」
　A「ゆずレモンティー。風邪気味だって言ってたので」
　HONGBIN「自分で？」
　A「ゆずとレモンを絞ったのとはちみつを混ぜるだけなので」
　HONGBIN「どんな味なんだろぉ(笑)」
　
　A「・・・(笑)」
　HONGBIN「ん？なんで笑ったの？(笑)」
　A「迷子のわんちゃん、みたいだなって思って」
　HONGBIN「迷子のわんちゃん？(苦笑)」
　A「人懐っこくて、じゃあさようなら、って帰してくれない」
　HONGBIN「あー、ゆずレモンティー飲みたい、って聞こえた？」
　A「えぇ(笑)」
　HONGBIN「うまく伝わったみたいだ(笑)」
　A「明日、朝に持ってきます」
　HONGBIN「催促したかな？」
　A「かなり(笑)」
　HONGBIN「じゃあ、成功だ(笑)」
　A「それでは、帰ります」
　彼女は、手のひらのロープをしっかり持ち直しながらそう言った。
　HONGBIN「僕も帰るから、途中まで」
　やってきた方へ歩いているとケンが僕と彼女の間を蛇行するように走っている。
　A「犬、飼われてるんですか？」
　HONGBIN「子供の時にね」
　A「ケン、近所の人に吠えて困ってるんです」
　HONGBIN「僕には吠えないね」
　A「だから犬を飼われてるのかなって」
　HONGBIN「犬を飼ってたら知らずにその飼い犬のにおいがついてるから吠えるってことも
　あるかもしれないよ」
　A「そう、ですよね・・・」
　HONGBIN「ケンは見る目があるんだよ(笑)」
　
　
　

　

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