僕の中の奇跡。１ VIXX

002：ケンの逃亡。 ページ2

　おじいちゃん、おばあちゃんの話を聞いて、落とし主の人柄がわかった。
　落とし主であろう人の名前を２人はAちゃんと呼んでいて、まるで孫のことを話す
　ような嬉しそうな顔に、時間を忘れて話を聞いていた。
　
　その間にも彼女は忘れ物を取りに来るかなと思っていたけど現われることはなかった。

　ー次の日
　結局、落し物として預けず持ち帰っていた音楽プレーヤーを持って昨日の場所に歩いた。
　僕が行った時にはもう姿がなかったので１時間早めに着いたつもりが、今日も彼女の姿
　が見られない。なんでだろ？って思いながらストレッチをして立っていた。
　
　A「すみません！！捕まえてください！！」
　
　急に後ろから女の子の大きな声が聞こえたと思ったと同時に右足に衝撃があった。
　HONGBIN「痛っ！え？！」
　驚いて下を見ると首輪に散歩ロープが着いたまま走るトイプードルが足に当たって少し
　よろめいたものの走り去っている。
　A「ごめんなさい！また逃げられちゃって！」
　タタタタって女の子は通り過ぎざまに僕の顔を見て立ち止ることなく追っかけてる。
　
　HONGBIN「捕まえた(笑)」
　公園内を逃げるというより、走り回ろうとしていたトイプードルは意外にも簡単に捕まえ
　ることが出来て抱っこするように抱えて元の場所へ歩いた。
　
　ハァハァと喜んでいるようなトイプードルの顔を見て、小さな時飼ってた犬のことを思い
　出した。
　
　A「あ・・・ケン！！」
　HONGBIN「この子の名前？(笑)」
　すぐに彼女は走り寄ってきたけど、相当走り回ったみたいで息切れしている。
　A「はい。あ、足は大丈夫ですか？」
　HONGBIN「うん、あれぐらいは平気」
　A「昨日も脱走されて、用心してたのに今日も一緒で・・・」
　彼女の息切れが少し落ち着いたのを見て手元にケンを返した。
　HONGBIN「はい」
　手元に返ると嬉しそうにワンワン吠えている。
　A「ホント、困った子なんだから(苦笑)」
　彼女の手のひらで脇をもたれているケンはそれでも嬉しそうにしっぽを振っている。
　HONGBIN「昨日も、こんな感じだったの？」
　A「えぇ(笑)お兄ちゃんの旅行中預かってほしいって言われて」
　HONGBIN「そっか(笑)」
　A「おかしいですか？(笑)」
　HONGBIN「あ、ゴメン。これが毎日だと大変だって思って(笑)」

　屈託のない笑顔の彼女に、僕が惹かれたのは必然的だった・・・

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