10.そういうとこやぞ ページ10
まじでそういうとこやぞ。
・
ガララ、ピシャン
放送室の扉が閉まる音。轟くんは帰って行ったらしい。マジで一体何をしに来たのか。
とりあえずほっとひと息つく。どう考えてもこの緊張感はヴィランと遭遇したときのそれである。何故クラスメイトに見つからぬよう隠れねばならなかったんだ。
「轟くんと何かあったの？」
「俺の掃除場所知った半分野郎がお前と話してえからって付き纏ってきやがってあまりにもしつけぇから逃げてきた」
「な、るほど」
私の個性はエンデヴァーや轟くんと同じ火属性である。
轟くんによれば、威力はそこそこだが調整が上手いらしい。体育祭以降、左側を使うようになった轟くんに調整のコツ教えていた。
それ以来彼に大層懐かれたのだった。
轟くんに好かれるなんて嬉しい。私なんぞの平々凡々女にエリートの彼が懐いてくれたのも謎だが、好かれて嬉しくないわけがない。
そこまで考えて、何かを忘れている気がして、ハッと顔を上げる。
「いつまでこの瓶詰め状態なの！？早く出て！！」
轟話(??)をしてる場合じゃない！！一刻も早くここから出たい！！！お前は出ろ！！！
じたばた暴れると、爆豪くんは彼の唯一の笑顔である悪人面をした。
ニヤって、笑った。
うわ、ムカつく顔。
「お前、免疫ねぇな」
「あるわけないでしょ！？退いて！？」
「タコみてェ」
くつくつ喉を鳴らして笑う彼。
浮き出た喉仏がどうしても「彼は男の子なんだ」ということを思い知らされてますます顔が熱くなる。
いや、そんなことどうでも良くて、早く出てもらえますか！？
・
(やっぱ馬鹿にしてるときにしか笑わないじゃん！)
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作者名：- | 作成日時：2017年8月15日 6時
