隣の席のかっちゃん (ページ34)

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34.睫毛と青春と睫毛ページ34

と、睫毛。

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「つまり、この場合はAがイイの。お分かり？」

ミッドナイト先生の色っぽい声が響き渡る一限目。窓から風がふわりと吹いてきて、なんだかいい匂いがした。私と爆豪くんは席をくっつけて授業を受けている。

はい。私が教科書忘れたからです申し訳ございませんでした。

でも、どこか懐かしい気がするのは、多分私がしばらく忘れ物をしなかったからだろう。

こうして席をくっつけて教科書を見せてもらうのも久しぶり。まさか高校生にもなってこんなことをしようとは。

爆豪くんは腹立つ野郎だけど、見せてもらうのってやっぱ申し訳ないなぁ、とチラッと爆豪くんの顔を見る。

頬杖をつき、目を伏せて教科書を見る彼。

…………いやまつげ長っ。

しかも長いだけではない。彼は地毛が薄い(黄色というか、肌色というか、とにかく形容し難い)色をしているため、きらきらと日の光を浴びて美しい。

思わず持っていたシャーペンを強く握る。シャーペンがギリギリと悲鳴をあげるのでやめてあげる。

すると、爆豪くんがおもむろにシャーペンを取り出して教科書に書いた。

『何こっち見てんだ殺すぞ』

……バレてた！？

だが爆豪くんはまだ一度もこちらを見ていない。となるとやはりこの男、第3の目があるな。

シャーペンを握り直して薄く文字を書く。

『どこに目付いてんの？』

『視線がうるせぇんだよ失せろ』

『かっちゃんちょっと自意識過剰なんじゃない？』

『教科書見せてやらねーぞ』

『すみませんでした』

隣から、なんとなく柔らかい雰囲気を感じた。あ、多分今ちょっとだけ笑ったんだな。ちょっとだけな。

不思議と嬉しくなりながら、私はMONOで教科書に書いた文字を綺麗に消した。

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(それにしても、睫毛長い。爆ぜろ)