31.歳月は美しい ページ31
隣になり続けなければ私は彼と話さなかっただろうから。
・
「わ、これ、懐かし」
久々に家に帰って、しばらく放置されていた私の部屋の押し入れの片付けをする休日だった。
ちなみにこの押し入れは、ほぼほぼ使わなくなってしまったものを詰め込んだだけの、いわゆるゴミの巣窟である。
黒いあいつが出そうなので長年目を背け続けてきたが、とうとう母に「その押し入れ、今年中に綺麗にしないと、勝手に火をつけて燃やしますからね(謎の敬語)」と言われてしまったのだ。
あれはガチだった。目が。マッチをｼｭｯってやりながら脅すのはやめて欲しい。
「この日記、割と長いこと付けてたなあ。最後の方日付とびとびだけど」
三日坊主の私が唯一大切にしていた日記。
誰に買ってもらったかすら覚えていないけど、一番初めのページはどうやら小学5年生の運動会のことが書かれていて、最後は中学2年生の終わりで止まっている。
小学生の頃の思い出は特に興味無いし、何より字が汚くて恥ずかしいので軽くぺらぺら捲りながら読み飛ばす。
「……あ」
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10月xx日 (水) 晴れ
今日は席がえがあった。
隣はあの爆豪勝己くん。
めっちゃ目つき悪くて怖い。
しかも爆破っていうド派手で物騒な個性持ち。
下手なこと言ったら頭爆発されんのかな、怖い。
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ぷぷぷ。
だよね、あんなんが隣の席になったら最初は怖いよね。
いつも眉間に皺を寄せ、不機嫌そうな顔。
口を開けば罵詈雑言。
横暴な態度はまるで王様。
でも、
たまにちょっとだけ皺が取れて笑ったり。
口は悪いけど遠回しに心配してくれたり。
強く真っ直ぐな姿はヒーローのよう。
異性にキスされて照れるのは当然。それが恋なのかはまた違う話。
・
(まだ、恋は知らない)
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作者名：- | 作成日時：2017年8月15日 6時
