22.恋も愛も知らないから ページ22
誰か教えて。
・
率直に申し上げよう。
私、AAは、恋愛に関する経験が全く無い。恋とは、愛とは何なのかよく分からない。
告ったこともなければ告られたこともない。頬を染めて好きな人のことをペラペラ話す友達の話に無表情で頷くだけの人生だった。
あの時爆豪くんは免疫が無いと言ったが、当たり前である。
そもそも私のことを選んでくれる殿方はいるのだろうか。いない気もしてきた。
「そんなことない」
「ひょぁあ↑」
突如意識の外から聞こえてきた声に肩が跳ねる。
びっくりしすぎてカラオケで滅多に出せないビブラート出たわ。今の完全にふにゃふにゃしたポテトみたいなマークつく。こんなとこで技術点。
後ろから話しかけてきたのは轟くんだった。すとん、と何も言わずに隣に座る。今日もとんでもねえ美形だな、おい。
「や、やめて、びっくりした」
「わりぃ、なんでこんな所にいるんだお前」
「反省してないでしょ。いや、自販機でジュース買ったから」
「座るなら階段じゃなくてベンチに座るだろ普通」
「階段が好きなんだよ」
「階段が好きなのか」
そう。私は昼休みになったので、教室を抜け出して階段で一人で座り込んでいた。
お昼はA組女子みんなで食べるのが基本だが、謎の恋バナが始まってしまったので逃げてきたのだ。
なんだよ、爆豪くんはどうですか？って。どうもしないよ。どうでもいいよ。
・
(どうも、しない)
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作者名：- | 作成日時：2017年8月15日 6時
