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Akito side

2008





橙「え?加入?」
黄「あの宮田Aが?」


たまたま東京へ収録で訪れた淳太くんと俺。
ジャニーさんがご飯奢ってくれるというからついていったら、
その場で衝撃的な発表をされた。



橙「え、でも宮田くんは東京Jr.やろ?なんで俺らと?」
「来年から関西に行かせるよ」



事務所で知らない人はいないくらい有名な宮田くん。
入所してすぐ抜擢され、Jr.ながら絶大な人気を誇ったグループで
そのままデビューかと思いきや、グループは消滅。

その後、宮田くんはTVに出る機会はめっきり減ったものの、
先輩のコンサートや舞台に引っ張りだこだった。



そんな彼が東京よりはるかにチャンスの少ない関西へ来ることが
俺たちには理解ができなかった。



「彼の希望じゃないよ、僕が判断したんだ」

そう言うジャニーさんは相変わらず何を考えているかわからない。


黄「…それは、彼にも僕らにも拒否権はないってこと?」
「まあそうなるね、でも悪い話じゃないでしょ?」


淳太くんの質問に対してあっけらかんと答えるジャニーさん。
たしかに悪い話ではない。
あの有名な宮田くんと一緒に組めるなんて夢みたいだ。
そう思ってしまう自分までいる。




「…彼は少し複雑でね」

そう話し始めるジャニーさんの表情は今までに見たことないほど、
難しい顔をしていた。



「YOUたちになら、任せてもいいかなと思えるんだよ」



頼むよ。
その一言がとても重く感じたのは、俺だけじゃないだろう。











橙「…淳太くん」


帰りの新幹線で今日のことについて話す。


黄「…宮田くんのこと?」
橙「うん…」


彼が東京で最絶頂だった時、一度バックについて踊ったことがある。
何年も前になるけどね。
もちろんそこに会話はなかったものの、すごく礼儀正しくて、
なによりすごく楽しそうに歌って、踊っていたことが
俺たちの記憶には鮮明に残っている。

その時もこうして帰りの新幹線の中で、たくさん彼について話した。
淳太くんも入所が同期、と言うのもあってか珍しく興味を持っていた。



黄「頑張るしかないやろ」
橙「…せやな!」






そんな彼が、



『東京から来ました、宮田Aです。
精一杯頑張ります、よろしくお願いします』



こんなにも儚くて、脆いなんて。
聞いてないよ、ジャニーさん。







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作者名:ぽんこつ | 作成日時:2022年1月11日 15時

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