ともだち ページ15
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番組の収録が終わり、局の廊下を歩いていると、
前方から見慣れた顔が２つ。
「おー！久しぶり！元気してた？」
「なんか身長伸びた？」
『薮くん、八乙女くん！お久しぶりです！』
この2人は僕が初めて組んだグループで一緒だった2人。
特に八乙女くんは加入時期が一緒で、よく一緒に練習していた。
薮「歌番組の収録？」
『はい！今度出させていただく新曲の！』
八「あれ作曲Aなんでしょ？相変わらずすごいな！」
『ふへへ、シゲのおかげですよ！』
薮「歌詞は重岡なんだ？」
俺の頭を撫でながら会話する薮くんはお兄ちゃん的存在で、
加入したばかりの俺にたくさん教えてくれた人。
『ジャンプの新曲も聴きました！めっちゃよかった！』
八「お、ありがとう！」
久しぶりに会った分、話すことがたくさんあって、
着替えることをすっかり忘れていたところに、
着替え終わったであろう淳太が楽屋から顔を出して、
黄「おひらがな〜、帰っておいで〜」
『はーい！じゃあ2人とも、お疲れ様です！』
薮「今度またご飯でもいこう！」
八「3人でね」
『はいぜひ！！』
そういって2人に手を振って、別れた。
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Yabu / Yaotome side
薮「…よかった」
八「なにが？」
薮「…ちゃんと関西で信頼できる人見つけれたんだなって」
八「それ毎回言ってるよね」
薮「どうしても思っちゃうんだよ…」
八「…まあ、それは俺も」
Aが小学生の時しか知らない俺らは、
なにもしてあげることができない。
彼が関西で苦労した話は人伝てに聞いたが、
俺らがしてあげれることはなかった。
あの時、俺らがデビューを発表したときの表情。
俺らのバックで踊ることが決まった時。
一緒にデビューできなかった悔しさ。
あいつが絶望の中でやってきたのは知っている。
東京にいる時も、関西にいる時も。
それを見て見ぬふりをしてきたのは、俺たちだ。
薮「関西で、頑張ったんだよね」
八「…俺らよりも、遥かにね」
俺らはもう、”仲間”ではないけど、
”仲間”と名乗る資格を持ち合わせていないけど、
ずっと、ともだちでいよう。
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作者名：ぽんこつ | 作成日時：2022年1月11日 15時
