マイナスイオン ページ13
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Hamada side
紫「おはよ〜、お？」
今日はちゃん(Aのこと)と外ロケ。
だからロケ車でマネがちゃんを拾ってから、俺の家来てんけど…
紫「どしたん、元気ないやん」
『濱ちゃん…』
ちゃんの様子がおかしい。
紫「なんかあったん？」
『……』
事情を聞いても俯いたまま話そうとしない、ちゃん。
うーん…、ちゃんのことやし収録には支障きたさんと思うけど、
紫「ゆっくりでいいから、話してみ？」
背中をさすりながら、優しくそう問いかける。
ちゃんは負の感情を滅多に表に出さない。
それはどれだけ信頼してるメンバーでも、
一緒に住んでいる淳太にも。
愚痴を言うこと、気持ちを伝えることが
迷惑だと思っているから。
『…曲が、降りてこんくって』
紫「次のシングル？シゲと一緒に考えるやつ？」
そう問いかけると、控えめにうなずく。
『シゲがすごいいい歌詞書いてくれて、それに俺、どう音乗せようか、
どうやってみんなへ届けようか、そう考えれば考えるほど、わからんくなって…』
紫「そっか…」
俺は作詞作曲にはあまり携わらないから、ちゃんの苦労に共感はできん。
けど、この悩みをちゃんだけに抱えさせたらあかんと思った。
紫「そない一生懸命考えてたら、ちゃんのことやし寝てないんとちゃう？
着くまで時間あるし、一旦忘れて寝とき」
そういって、ちゃんを無理矢理自分の膝の方へ倒し、
体にブランケットをかけてあげる。
リズム良く背中を叩いてあげると、控えめな寝息が聞こえて安堵する。
…これは、淳太行きやな。
そう思い、俺は携帯を取り出した。
紫「おつかれさまでしたー！！」
『ありがとうございました！お疲れ様でした！！』
外ロケも無事おわり、片付けて帰ろうとしたら、
ちゃんが控えめに裾を引っ張ってきた。
紫「どしたん？」
『今日ありがとう』
めっちゃ楽になった、と話す、ちゃん。
紫「俺なんもしてへんで？」
『ううん、濱ちゃんが話聞いてくれたから』
紫「…そっか！もっと頼るんやで〜！」
そう言いながら、ちゃんの髪の毛をぐしゃぐしゃに撫で回す。
やめてよ〜！といいながらもきゃっきゃっと喜んでるちゃんを見て
ひとまず安心する。
まああとは淳太がどうにかするやろうし。
俺の役目はここで終わり。
『濱ちゃんはマイナスイオンみたい』
ふへへ、と笑いながらそう言ってくる、ちゃん。
紫「ちゃんも一緒やで！！」
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作者名：ぽんこつ | 作成日時：2022年1月11日 15時
