7.どうして ページ7
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今日は三限までだったので早く帰れた。仕事も休みの日だったから、家に帰ってぐっすり眠っていた。起きると20時半、変な時間に起きてしまった。夜はすぐに嫌なことを考えちゃうから嫌い。
『外、行くか………』
私は高校卒業と同時に伯母の家を出て、一人暮らしをしている。さすがに何もかも任せきりには出来ないので、この家は自分でバイトして貯めたお金で払っている。だけど学費や食費諸々のお金を毎月口座に振り込んでくれているお陰で、私は何不自由ない生活を送れている。
優しくしてくれないとか、愛してくれないとか言ったけど、そういう面では私を気にしてくれているのかもね。まぁそれも大事な妹の娘を死なせたくないとか、そういう勝手なエゴなのだろうけど。
「君、カワイイね。」
『………ふふ、どうも、』
「笑った顔も素敵だね。よかったらこれから俺とどっか行かない?」
『いいよ』
どっかって、ホテルしかないでしょ。下心見え見えなのよ。だけどそれが逆にありがたかった。変に勘違いして、私を好きになられても困る。ワンナイトくらいの軽い関係でいい。この寂しさを埋めたいだけだから。
「オイ待てよ。」
『っ!?…………は、なんで、』
「何だよお前。」
「そりゃこっちのセリフだ。悪いけど、こいつは俺が連れて帰るから。」
「ア?勝手に決めてんじゃねーよ。俺が先に見つけたんだ、この美女は。」
「下心しかねーだろ、テメェは。」
「はぁ?目的はお前も一緒だろ。」
「違ぇよ、俺はテメェみたいなゲスいオトコじゃねーんだわ。いいからさっさと消えろ。女探してんなら他当たれ。」
なんで、どうして。
聞きたいことなら山ほどあった。
それなのに、声が出ずに涙が出るだけだった。
「何泣いてんの?」
『う、るさい………っ、なんであんたがここにいんのよ』
──────────千冬、
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作者名:ゆ | 作成日時:2023年9月29日 21時