4.忘れられない ページ4
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Chifuyu Matsuno side
中学生の頃、ずっと好きだった幼なじみとやっと付き合えた。それなのにその幸せを自分で壊した。
『私のこと嫌いだったなら、言ってくれればよかったのに。結局千冬も一緒なんだね、私のこと捨てるんだ。』
そう言ったあいつの顔を数年経った今でも忘れられずにいる。あの日は少し苛立っていた、だから少し突っぱねる言い方をしてしまった。あの時に一緒にいた女は勝手に俺に着いてきてただけで、俺が好きなのはAだけなんだ。
その言葉を伝えられればよかったのに。別れを告げられると思わなかった俺はパニックになって、追いかけることすらできなかった。
高校は本当はAと同じ所へ行きたかったけど、頭のいいあいつとバカな俺では偏差値が天と地の差だった。あの喧嘩以降、一切話していなければ、会ってもいない。タケミッチや八戒に新しい恋見つければいいって散々言われたけど、どの女を見たってドキドキすることなんてなかった。俺はずっと引きずったままでいる。
「お前さぁ、そんな顔すんならさっさと仲直りしろよ。」
「簡単に言わないでくださいよ。それが出来てたらこんなに悩んでないんだから。」
高校卒業後、俺はずっと金髪だった髪を黒髪にし、ペットショップの社長となった。因みに一虎くんと場地さんと一緒に働いている。
事情を知る一虎くんはしょっちゅう仲直りしろと言うが、連絡先は消されててメールを送っても返ってこない。こんな状況でどうやって仲直りしろって言うんだ。Aと別れてから7年……今頃、どうしてるんだろう。
「ったく、しょうがねぇやつだな。今日店終わったら飲み行くぞ。」
「は、なんで急にそんなこと………」
「A呼んでやるから。だからあの時言えなかったこと全部伝えて、ちゃんと仲直りしろよ。まぁ来たらの話だけど。」
「一虎くん………」
俺と知り合うよりも先に、Aとは顔なじみだったらしく、今でも連絡を取り合う仲だそうだ。一虎くんはそう言うやいなや、Aに電話を繋げた。スピーカー越しに聞こえる声はあの頃より大人びていて、少しドキッとした。
だが、俺には聞き捨てならない内容が聞こえた。
「あいつ今日は都合悪いみてぇだわ。」
「そんなことより説明してください、今の話。水商売って何ですか」
「はぁ………ったく、また面倒なことやってんだな、あいつ。」
「……あー……まぁ、とりあえず俺ん家行くか。」
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作者名：ゆ | 作成日時：2023年9月29日 21時
