3.後悔先に立たず ページ3
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5歳の時に出会って、いつだって一緒にいて、年頃になってくるとお前ら付き合ってんの?ってからかわれてお互い顔赤くなったりして。そんな両片思いを超えて、付き合ったけれど、付き合う前の方が幸せだったのかもしれない。付き合わなければ今でも千冬と幼なじみとして隣にいられたのかもしれない。
そう、思わない日はない。
10年以上一緒にいたのに、その絆の糸は簡単に千切れてしまった。あの日……あんなことを言わなければ今でも仲良くできていたのだろうか。高校は千冬と別の所へ行ったから、中学卒業後は本当に疎遠になってしまった。
私は、ずっと初恋を引きずったまま─────
「リナちゃん、可愛い。どこが気持ちいのか教えて?」
何度も、好きでもない男に抱かれている。これは仕事の一環ではあるが、千冬が隣にいない寂しさを埋めるためでもあった。
だけど終わった後に残るのは、虚しさだけだった。
コツコツ
仕事からの帰り道、一本の電話が入った。
ディスプレイを見ると、一虎くんからだった。
『何?』
「電話の一言目それなの酷くね?まぁいいや、今から場地と飲むんだけどお前も来いよ。」
『………いいや、やめとく。さっきまで死ぬほどお酒飲んでたし。』
「は?」
『は、って何よ。私の仕事は前にも説明したでしょ。』
「A、お前まだ水商売の仕事やってたのかよ。やめろって前にも言っただろ。」
『別に……一虎くんには関係のないことだから。切るね。』
「あ、ちょ……っ、おいA!!」
プチッ
ツーツーツー
一虎くんは昔、万次郎が総長で創立した東卍の一人だった。そんな総長のワガママで行く所行く所連れ回されていた私は、隆くんやケンちゃん、パーちん、一虎くんともどんどん仲良くなった。元々は道場に通っていたから万次郎といつも一緒にいた圭介ともすぐに打ち解けた。
中でも、一虎くんはいつも私を気にしてくれてたっけ。危ないことは何が何でもさせてくれなかったし、バイクニケツするなら絶対俺の後ろなって聞かなかった。
でももう私だって大人になったんだ、これ以上心配をかける訳にはいかないから。
この仕事をしてるのは誰かに愛されたいって
そう思う私の
───────エゴだから。
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作者名:ゆ | 作成日時:2023年9月29日 21時