私だけを愛して。【松野千冬】 (ページ18)

今日:9 hit、昨日:1 hit、合計:11,950 hit

18.手を出さない理由ページ18

.

千冬と付き合ってから暫く経った。エマや一虎くんたちにはすぐに報告し、よかったねって言ってくれた。

それはそうとあの日、結局千冬は私に手を出すことはなかった。まぁ昔から不良のくせに誠実ではあったし、特に不満を感じることはなかったのだけれど。もう数ヶ月は経つのにまだシていない。なんで！？！？

ピンポーン

「よぉ、どうした？」

『遊びに来た。今日は圭介いるの？』

「いねーよ、あいつシフト入ってっから。今は俺だけだよ。」

『そうなんだ、まぁいいや。お邪魔しまーす』

「オイオイオイ、さすがにまずいだろ！！」

『ん？』

「彼氏いる女が他の男の家で二人きりはまずいっつってんの。千冬に知られたら俺が殺されるわ」

『大丈夫でしょ、一虎くんだし。圭介も仕事終わったら来るんだよね？』

「そうだけど！！」

一虎くんがそういうの気にする人だとは知らなかった。殺されるって本当大袈裟だ、この人は。千冬がそこまで気にするとは思わないけどな。

『そんなことよりさ、一虎くんに相談があるの。』

「相談？なんだよ？」

『一虎くんって彼女できたことある？』

「バカにしてんのか、あるわ。」

『彼女とやったことは？』

「…………ハァ！？！？てめ、何聞いてんだよ！？？」

『いや変な意味じゃなくて。世の中のカップルって付き合ってどれくらいでするのが普通なのか知りたくて。』

「知らねーよ、人によるだろ。…………オイ待て、お前らまさかまだしてねーの？」

『………そのまさかだよねー』

マジかよというような顔でこちらを見つめる一虎くん。そんな顔で見ないでほしい、私だってびっくりしてるんだから。だってなかなか会えてないわけじゃないし、寧ろ頻繁に外でも家でもデートしている。それなのに手を出してこないのは私に魅力がないということだろうか。

「あいつ慎重すぎだろ、まじウケる」

『いや笑い事じゃないんだって。例えば、私の体が汚いからとかさ………』

それしか、思いつかなかった。
千冬が私に手を出してこない理由なんて。

ビッチとかヤリマンとか言われたって仕方ないことを今までしていたわけだし。千冬は汚くないと言ってくれたけれど、心の中でそう思っていても不思議じゃないことだ。

.