15.千冬のお家 ページ15
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ピンポーン
「ほらA姉!!千冬来たよ!!」
『で、でも………っ、』
「でもじゃない!!早く行く!!」
『う〜〜〜っ、』
「頑張って、A姉なら大丈夫。いい報告待ってるからね。」
そう言うやいなや、家から放り投げられた私は千冬と対面することになった。いやよくよく考えてみれば、この人に好きって言われたんだよな。私はずっと嫌われてるものだと思ってたし、また昔みたいに話せるなんて思ってもいなかったこと。
「………A?」
『え、あ、え!?何!?』
「何じゃなくて、俺の家近いから行こうって。」
『あ、うん!!』
お、お、お、俺の家だと〜〜〜!?!?
もし、もしだよ??私が返事して、付き合うことになって。そのままシちゃったりするのだろうか。昔はまだ中学生だったから、千冬とはキスまでしかしたことなかったし。どうしよう。付き合うまで“は“手出さないって言ってたけど。付き合ったらどうなるの!?えっ!?
いや一旦落ち着こう。落ち着くのよ、A。
「着いた。ここ、今の俺ん家だから覚えとけよ。」
『う、うん……』
正直、エマの家からここまでどうやって歩いてきたか覚えていない。千冬のことばかり考えてたせいだ。
「A、なんか今日上の空じゃね?」
『え!?そ、そうかな?』
「あー……もしかして、この間の返事?俺振られる感じ?」
『!あ、いや、そうじゃなくて』
「ちげーの?」
『う、上の空、だったのは……千冬のこと、考えてたから、』
「は、」
『っ………こ、この間の返事も、させて、』
「あのさ、そういう顔されるとこっちも期待すんだけど。」
『期待………して、いいよ、』
大人になった千冬はいつも余裕そうだったけれど、私の言葉にぶわぁっと顔を真っ赤にした。
『私、千冬のことが好き。』
「………!」
『同じ気持ちだよ。私も別れてから千冬のこと忘れたことなんてなかったし、あんなこと言わなきゃよかったって後悔した。』
「それはAのせいじゃ………っ、」
『好き、すっごく好き。でも………』
「でも?」
『……………っ、』
“それ、千冬にそのまま伝えれば?“
いいの、かな。
今の千冬は私を受け止めてくれる?否定しないでくれる?
「言って。俺、Aのことなんでも受け止めるから。」
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作者名:ゆ | 作成日時:2023年9月29日 21時