14.親友の力 ページ14
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『エマ、怒ってくれてありがとう。目が覚めた気がするよ。キャバ嬢はもうやめる。』
「うん、その言葉が聞けてよかった。続けるなんて言ったらマイキーにボコボコにしてもらう所だったよ。」
『怖、絶対やめるわ。』
「で、本題はソレじゃないんでしょ?千冬と再会したんだって〜?」
『え!?ななななんで知ってるの!?』
「タケミッチが口滑らせて聞いちゃった。千冬と仲良いからね、それで聞いたんじゃない?」
本題が別の所にあることまでバレていたなんて、この親友恐るべし。千冬に好きとか、辛いなら俺の所へ来ればいいとか、そう言われた日。手を取りたかったけれど、そう簡単に決断出来るものではなかった。恋人同士になれば別れが付き物。喧嘩別れしたくらいなんだし……同じようなことがあっても、不思議じゃない。
もしそうなったら、千冬がいなくなったら、私には居場所がなくなる。付き合っても結局別れるくらいなら、初めから付き合いたくないと思ってしまう。
「それ、千冬にそのまま伝えれば?」
『む、無理だよ……こんなの重いし。てか重いから振られたんだし。』
「千冬もまぁまぁ重いと思うけどなぁ」
『え?』
「Aが可愛すぎて閉じ込めたい(モノマネ)とか、他の男が視界に入んのとか無理(モノマネ)とか。よく言ってたよ。」
『………ぷっ、ふふ、何それ、千冬のモノマネ?』
「え、似てるでしょ!?」
久しぶりに心から笑えた気がした。親友の力って偉大だ。凝り固まっていた闇から解放された気さえしているのだから。キャバ嬢をやめて、夜の世界から去れば……千冬と一緒になってもいいのかな。
「そんなに思い悩む必要ないよ。千冬、A姉を突き放したのちょー後悔してたらしいし。まぁこれ全部聞いた話なんだけどね。」
『エマ………私、頑張ってみてもいいのかな、』
「いいんだよ。なんなら今すぐ連絡して千冬に会いに行ってきなよ!!」
『えっ、今すぐ!?それは心の準備が!!!』
「思い立ったら即行動だよ!!」
『ちょ、私の携帯………!!』
しかもメールじゃなくて、電話かけちゃったよこの子。私の携帯で勝手に。どうか出ませんようにと願った。
「もしもし、A?どうした?」
『(出ちゃった〜〜!!!!!)』
「千冬?ごめんエマなんだけど。A姉が話あるらしいから、悪いけどウチまで迎え来てくんない?」
「分かった。」
『(え!?そこ分かっちゃうの!?!?どどどどうしよう………っ、)』
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作者名:ゆ | 作成日時:2023年9月29日 21時