13.エマちゃん ページ13
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ピンポーン
「A姉！入って入って！」
今日、あるお宅を訪ねていた。まぁ私をA姉と呼ぶ人は一人しかいないのだけれど。
『エマ、久しぶり。』
「久しぶり！！」
万次郎の妹であるエマは、私の昔からの親友。中学生の頃はケンちゃんと両片想いでなかなかくっつかず焦れたかったけど、今では結婚して専業主婦だ。幸せそうで何より。私がこの家に何をしに来たのかと言うと、言わずもがな千冬の相談だ。
「A姉、本当綺麗になったよね〜昔から可愛かったけど磨きがかかったっていうかさ！！」
『何よ、お世辞言っても何も出ないよ？』
「本当に思ってるってば！！」
『ふふ、ありがとう。』
「それにしても急にウチに相談なんてどうしたの？」
『………聞いて、くれる？』
「もちろん。」
私がキャバ嬢であることを知っている人間は限られている。一虎くんにしか話していないことだったから、あの日電話で圭介と千冬にバレて、それでも3人しか知らない。あまり声を大にして言える話ではないから。
話して、もしエマに気味悪がられたらどうしようとか。そんなことを何度も考えた。だけど親友に隠し事をするのは嫌だったし、千冬のことはこの話を通してでないと到底難しかった。口篭りながらも、中学卒業後からの私の行いを全て話した。
「A姉………」
『バカなことしてるって自分でも分かってる。なんか私ってさ、自分で思ってたより寂しがりだったみたいなんだよね。その寂しさを埋めたかった。』
「バカ！！！！」
『う……っ、』
エマに怒られると、怯んでしまう。バカなことなんて自分が一番分かってるんだよ。
俯いていると、エマに優しく抱きしめられた。
『え』
「寂しいなら、なんでウチを頼ってくんないの………！！ウチら親友でしょ！？」
『………！』
「昔、ケンちゃんに見て欲しくて、街で男に声掛けて下着姿で迫った時、怒ってくれたでしょ。だからウチも怒るよ。身体は大事にしなきゃダメ、女の子なんだから！！これ、その時にA姉が言ってたことだよ。」
そんなことあったな………まぁ相手はタケミッチだったからよかったんだけどね。
エマに言われるから、なんだか心の奥に響くものがあった。説得力があるというか。昔の私、そんなこと言ってたっけ。
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作者名：ゆ | 作成日時：2023年9月29日 21時
