僕はこの夏、君に溺れる。【赤葦京治】

Drowning in you-7 ページ9

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「Aおはよ」


『京治くん、おは〜』


「眠そうだね」


『昨日徹夜しちゃったの』




翌朝。


朝練を終えたみたいの京治くんが

隣の席の椅子をガタンとひいて座った。


そして、寝不足で机にぐだっとなっている私の

顔をのぞき込む。


……っ、近い。




「無理したらダメだよ」


『……うん』




ふっと笑って今度はわたしの頭を撫でてくれる。


なにそれ、なにそれ。


……ダメだ、私がもたない。



なんでそんな私がきゅん、とくることを

ズバズバやってくれるのかな。


京治くん、それ無意識だったら怖いよ。




「で、夜何してたの？」


『……勉強』


「あー、テスト近いからね」


『理系ほんとにできないから』


「……俺、理系得意だよ？」


『うう、いいな〜』




京治くんは頭がいい。


それに比べて私は勉強はあまり得意ではない。


特に理系がダメで。


赤点とか普通に取ったことあるし。



今回は赤点はなるべく避けたい。


赤点を取ると夏休みが補習で潰れる。


そしたら京治くんと海、行けないかもしれない。



ただでさえ、行ける日少ないのに。


これ以上行ける日を無駄にしたくない。



海だけはどうしても行きたい。




……待って、京治くん理系得意だって言った。


部活とかあるだろうし

そんな、暇ないかもしれないけど


……教えて、くれたりしないかな。


忙しいのはわかってるけど

少しでも一緒にいる時間を増やしたくて。




『……京治くん』


「ん？」


『勉強、教えて……ください』


「ふはっ、全然いいよ」




今、いいよって……。


……やった！一緒に勉強できる！


寝不足の頭が一気に覚めた気がする。


それくらい嬉しくて。




「でも部活あるから毎日はできないかも」


『何回かで大丈夫だよ』


「そう？なら今度勉強会ね」


『やったー！』




思わず手をあげる。


京治くんには笑われたけど、

勇気出して良かった。


勉強は嫌いだけど、勉強会は楽しみだ。





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