僕はこの夏、君に溺れる。【赤葦京治】

Drowning in you-6 ページ8

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「ね、まだ告んないの？」


『……うん』


「えー、もったいない！」


『今の距離が幸せだもん……』




学校が終わり、今は駅前のカフェにいる。


友達のまなちゃんに紹介されたここは

安くておいしくて、なんといってもオシャレ。


女子高生っぽいなーなんて呑気に考える。




「Aはそれで後悔しないの？」


『うー……』




京治くん。


今、頭にいるのは家族でもなくまなちゃんでもなく

この場にいない京治くん。



好きだったり……する。



いや、

……好きだけど、好きじゃない。



京治くんのことは好き。

でもこの気持ちは鬱陶しいから嫌い。


矛盾してるのはわかってる。



そして、京治くんには

好きってことを隠している。




「昼休み2人でいたくせに〜」


『え、何で知ってるの？』


「風の噂でね。あ、これおいしい」


『……えええ』




風の噂って。


誰か見てたのかなあ。


そんな気配しなかったけど。



変な誤解されちゃ嫌だな……。


私的には別に大丈夫だけど、

京治くんには嫌な思いさせたくない。


今の距離が1番だと思うから。




「付き合ってるって噂まわってきそう」


『勘弁してください……』


「なんで？いいじゃん、好きなんでしょ」




……いい、のかな。


良くない気がするけど噂は仕方ない。


ていうか、そもそも

そんな恋人みたいな事してたっけ……？


……うん、してないよ。




いつもドキドキはしてる。


髪の毛クシャってしてくれる時とか、

言葉じゃ表せないほど胸が高鳴っている。


隣の席なのもいつも緊張していて。



いつか気づいてくれたら、なんて

妄想を始めてしまう自分を笑った。




この悩みの答えが見つからない。


どうすればいいの、

どう好きなの、

好きなら何をすればいいの。


……わかんないよ。



私は下を向いて

このモヤモヤを消すように

ずずーっとドリンクを飲んだ。





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