僕はこの夏、君に溺れる。【赤葦京治】

Drowning in you ページ48

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「一緒じゃ、ないよ」


『え？』



「……Aに溺れたいって言ったら？」






驚いた表情を浮かべるA。


そりゃそうだよな。



自分に溺れたいなんて言われても

なんて返したらいいかわからないと思う。





でももうAが居ない日常は考えられない。




そういう意味ではもう俺は。









ごめんね。



気付いたらこんなにも好きになっていた。







「ねぇ、A」








もう、気付いた頃には遅かった。




止められないくらい、溺れるくらい、







「好きだよ」








好きになっていた。







「Aに溺れさせて？」







君は海に、溺れたい。




なら俺は。






君に、溺れたい。









『……いいよ、』


「え？」





『私に溺れても』








普段はしない大人な表情をしていて

思わずドキッとした。





Aのパッチリとした目と俺の目が合う。





何故か、何故だかわからないけど

離せなくて。





そしてどちらからとも無く顔を近付け、


触れるだけのキスを交わした。








その後、無意識だったのか

お互いに顔を真っ赤に染めて。





真っ赤な顔で嬉しそうに微笑むAを見ると


自然と手放したくないという

独占欲が浮かんでくる。









俺はもう、手遅れで。




とうの昔にAを好きになっていて。




気付いたらAに溺れていたのかもしれない。








「ねぇA」


『ん？』


「好き」


『……私は大好きだもん』


「愛してる」








僕はこの夏、君に溺れる。









−fin−

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