僕はこの夏、君に溺れる。【赤葦京治】

Drowning in you-3 ページ5

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勿論、Aとずっと話していられるわけじゃなくて。


こんな楽しい時間にも終わりはやってくる。


昼休み終了を知らせるチャイムが

校内に鳴り響いた。



まだ話してたい、なんて。


席は隣でも授業中は流石に話せない。


放課後は部活だし……と考えたら

Aと沢山話せるのは昼休みだけなのかも。




『次なんだっけー』


「数学だよ」


『げっ……当てられませんように！』


「Aの出席番号早いし大丈夫でしょ」




数学の先生は

その日の日にちの出席番号の人を当てる。


数学の先生に限ったことではないけど。



でも今日は6月下旬。


俺もAも出席番号は早い方だから

当てられる心配はないだろう。




でも寝ちゃいそ、なんて

小さく微笑みながら言うから。


俺も頑張って笑ったけど。



……こんなに可愛いっけ。

こんなに可愛かったっけ。



笑ってるAを見ると愛しいと思えた。




……愛しいなんて、彼女でもないのに。


俺、どうかしてる。




『早く行きたいなあ』


「俺も楽しみ」


『かき氷、忘れないでね！』


「忘れないよ」




ふふ、と嬉しそうに笑っているのを見ると

かき氷を奢るなんて1つでも2つでも

変わらない気がしてきた。



多分、それはAの笑顔がもっと見たいからで。


俺は変態かよ、なんて

自分を笑った。




『京治くん』


「ん、なに？」


『えへへ、呼んでみただけ！』




……このやろ。


騙された。




「……A」


『なーに？』


「呼んだだけ」




仕返しをするともー、なんて怒るA。


でもほんとに怒ってるわけじゃなくて、

京治くんの意地悪！と笑いながら言われた。




ただ、こうやって

Aと他愛もない話で盛り上がる。


それも俺にとっては大切なことで。


この時間が好きで。




夏休みは毎日は話せないということに気づくと


少し寂しく思えた。




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