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Drowning in you-29 ページ31

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ドリンクを口にする。


冷たい液体は乾いた喉を一瞬にして冷やしてくれる。



そしてこれでもか、というくらいに流れ出てくる汗を

ぐいっと拭い、ふーっとため息をつく。







今は合宿中。というか、自主練中。


当然、Aはここには居ない。




あの花火大会を境に、俺達は顔を合わせていない。


というと喧嘩でもしたみたいだけど、

ただ単に俺が部活で会う時間がないだけ。





いや、喧嘩といっても間違ってはいないか。


泣かしたのは俺だと思うし。


まあ、本当の理由はAにしかわからないから

俺はなんとも言えないけど。





バレーをやっている時はAのことは頭にない。


まあ、バレーやってる時は基本的に他のことは頭にないし

別に特別なことではない。





だから、バレーをやっていない時。



今みたいに休憩をしている時とかは、

ふとした瞬間にAが頭にチラつく。





Aを思い出すと、花火大会の夜の出来事を

思い出すから好きじゃない。




俺が泣かしたとか、そんなの思い出したくない。


何も出来なかった自分に腹が立ってくる。






だから、嫌なのだ。







……チッと小さく舌打ちをうつ。




過去のことは振り返ってはいけないとか言うけど

そんなの俺には無理な話で。



飽きるほど、思い出してしまう。






……バレーしたいと思って、

声をかけようと振り返ったら。



何故か周りの人はぎょっとした様子で

俺を見ていて。




…………え?なに?






「どうしたんですか」


「赤葦が急に舌打ちなんかつくからだろ!」


「え、聞こえてたんすか」


「ビビったー」




黒尾さんと木兎さんが大げさに騒ぐもんだから

そんなに?と聞くつもりで隣に居た月島の方を見る。


すると月島はコクっと頷いた。




……は、そんなに?







「何かあったのか?」


「……別に」


「バレバレだっつーの!仕方ねぇな、先輩が相談にのってやろう」


「遠慮します」


「即答かよ!」







黒尾さんが相談にのってくれるというので、

丁寧に断っておいた。


だって相談したら写真見せろだの言いそうだし

木兎さんまで話に割り込んできそうだし。


そうなると、ちょっと。






……今くらい、忘れたい。


俺はバレーボールを手にし、コートに走る。







そろそろ夏も折り返しかなあ。





夜でもうるさい聞き慣れたセミの鳴き声を

聞きながらそう思った。








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Drowning in you-30→←Drowning in you-28 (作者より)


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設定タグ:ハイキュー , 赤葦京治   
作品ジャンル:恋愛
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ちゃか.(プロフ) - サキさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてすごく嬉しいです…!私自身も書きながらきゅんきゅんしてました!(笑) (2017年12月30日 18時) (レス) id: 913905f81a (このIDを非表示/違反報告)
サキ - もうキュンキュンし過ぎてやばいです。すごく良かったです! (2017年12月30日 1時) (レス) id: 039bdc96e3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃか@気高き薔薇の女王(プロフ) - 弥緒さん» コメントありがとうございます!そう言っていただき嬉しいです。そうなんですね…。やっぱり恋って複雑ですよね(汗) 更新頑張ります…! (2017年8月20日 17時) (レス) id: 913905f81a (このIDを非表示/違反報告)
弥緒 - なーんて!夢主ちゃんには幸せになってほしい!告白したわけじゃないけど、きまずくなっちゃった。更新がんばれー!! (2017年8月18日 15時) (レス) id: d9d423301a (このIDを非表示/違反報告)
弥緒 - きゅんきゅんする!私も好きな人がいて、祭りのとき告白しよう思ったんやけど隣にいた子に邪魔されたんよ。 もう少しだけ好きでいたかったなぁ。 (2017年8月18日 15時) (レス) id: d9d423301a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちゃか. | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年7月25日 15時

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