昔の恋をもう一度（濵） (ページ10)

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結果だけ言うと、
この食事会は俺がAちゃんに気を配る会なんかではなく、

俺がAちゃんのことを
もっと好きになる会でしかなかった。

実は俺と同じでお酒が得意ではないこと。

どんな話も興味津々で聞いてくれること。

釣りにも興味を持って、
行ってみたいと言ってくれること。

俺が取りやすいようにと中央に置いた箸や醤油を、
何も言わずに帰るときには
元どおりに片付けてくれること。

当たり前のように半分払おうとすること。

俺が断って全額払うと、
「ごちそうさまです」と微笑んでチョコレートをくれること。

帰りのバス、俺が見えなくなるまで
手を振ってくれること。

帰り着いてすぐに
『今、帰り着きました。
今日は楽しかったです。
ごちそうさまでした。
いっぱい気を遣ってくれてありがとう。
また、誘ってくれると嬉しいな。
いつかは釣りにも連れて行ってね』
と連絡をくれること。

その行動言葉全てに優しさと暖かさが滲み出ていて、
もっとAちゃんの話も聞きたかったなとか、
もっと食べる姿とか笑顔とかを見ていたかったなとか、
そんなことばかりを思っていた。

こんなにも人を好きになるのは、いつぶりだろう。

Aちゃんのことを好きになるのに、
それほど時間はかからなかった。

きっとそれは、彼女に一目惚れしていたからだと思う。