Care house.+*

空への手紙2 ページ16

照史side



「流星、咳止め入れるで？」



唯一、流星が意思表示できるのが
ナースコールで俺を呼ぶこと。



「ん、痛いな？ごめんごめん」



薬は点滴で、
栄養はフェンタニルパッチで、


もはや緩和ケア同様の状態。



肺に激痛が走ってるのに、
咳は容赦なく出てくるからどうしようもない。



「げほげほっ、ん、」



「効くはずやからな、」



流星の手を握ってそう伝えると
微かに首を動かしてくれた。



ホンマに、流星は強い人やと思う。



「痛いな、はよ薬効くとええねんけど…」



正直に言えば、
痛そうな患者さん見てる方も辛い。



ちゃんと患者さんが闘ってんの
知ってるから。
最後の最後まで、誰一人
諦めたところ見たことなくて、



俺の方が無力やなぁ、って。



「………あ、き……と、」




あぁ、1週間ぶりやったやろうか。



昔、流星がやんちゃして、
でもそれは可愛いやんちゃで、


先生、じゃなくて友達みたいに


「照史」って呼びはじめてくれて



「照史」って少し特徴的な声が
聞こえてきたん。



「流星、どした？？」



やっぱ、心地ええなぁ、この声。



「あ……、」



「無理に喋らんでええんやで、」



そう遮ったのが悪かったんかな、




流星が次の日の早朝、




一人ぼっちの旅へと、向かった＿＿＿。

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