重岡くんとダイキ【赤】 (ページ44)

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2人で歩く帰り道

制服でここを歩くのも最後なんだと思うと寂しい。

あの頃と変わらず、隣を歩くのは重岡くんであってもダイキであっても

手を繋ぐことはなかったなあ

…って思ってた。

突然ぬくもりに包まれる右手。

そのぬくもりは、ちょっとの手汗と震えに包まれていたから

思わずダイキの顔を見たら、やっぱり

『重岡くん、』

「じゅ、受験期の時も、ほんまは繋ぎたかったんですけど、

半端な心でもアレやし、僕自身触れたら多分普通じゃいられなくなりそうだったんです…

やから、やっと、繋げて、今ほんまに幸せ、です」

少し目を見て微笑んだ重岡くんにキュンとしてぎゅっと握り返すと、

それより少し強く握り返ってきて、

繋いだ手から気持ちが伝わるみたいだった

『送ってくれてありがとう、』

「…おう、気にすんな」

いつのまにか変わって、ダイキにいつかと同じように頭をわしゃわしゃと撫でられる。

『じゃあ、…また連絡するね』

「ん、…じゃあまた、」

ダイキが背を向けて歩いていくのを確認してから、家の鍵を開ける。

「…A！」

振り向くとダイキがいた。

『どうした？なんか忘れ……』

スローモーションみたいにダイキの顔が左に傾いて、唇がふれた。

「忘れ物、？」

弧を描くように笑うダイキと赤くなる頰を必死で抑える私。

重岡くんとダイキ、あなたならどっちを選ぶ？

私は…

END