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『…重岡くんは?』
そう聞かれた彼は目を彷徨わせて、足を止め、
握ってたリュックの紐をさらに強く握った。
「俺、ここ離れようと思ってる」
私の目を見て伝える。
『ダ、イキ…?』
「ごめん、あいつが言いづらそうやったから代わりに。
…あいつ勉強得意やん?
で、なんか、宇宙工学?っつーのに興味があるんやて。
ほんでうちの親が、まぁちゃらんぽらんの俺と違って
あいつ真面目やから、
重岡家の誇りや!これはイケる!言うて、
宇宙工学研究の第一人者の人がおる関西の大学勧めててん。
けど、俺は…Aおるし、
西大でもそういう学部あって普通にちゃんと学べるから
そっち行ったらいいって言うてんの…に」
ダイキがふと話すのをやめて困ったように眉を下げて近づく。
「なんで泣いてん」
ボロボロ零れ落ちる涙でブレザーの色が濃く変わっていく。
『っ、…ごめ、』
「あんま擦んな、痛いやろ」
ダイキのセーターの袖もだんだん色が変わっていく。
「あいつもさぁ、…痛いほどわかってんねん。
お前のこと俺より好きやし、
死ぬほど好きやからさ、悩んでんねん。
けど…同じくらい大切にしたい夢も出来た。
俺にとって、俺を守ってくれたあいつの大切な夢も、
人も全部尊重して、大切にしてやりたい。」
なんて、強くて意思がはっきりとしたかっこいい人なんだろう。
涙ぐみながら言うダイキのためにも、
私は重岡くんの夢を応援することに決めた。
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作者名:ちい | 作成日時:2017年10月17日 1時