重岡くんとダイキ【赤】 (ページ4)

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Shigeoka side

いつもとは比にならないスピードで家へと帰り、

部屋に入り机の上にダンッ！と鏡を置いて自分を見つめると

徐々に自分の顔がいつもの僕の表情とは変わって見えだした。

「お、おい！

ほんっまにオマエは、何してくれてんねん！」

「はあ？(笑)お前ここは俺に感謝する所やぞ」

ヘラヘラしながら返すのは、僕。

いや、違う。

もう1人の、俺。

「いつまでもアプローチかけへんお前のために、

この俺が愛しのAチャンとの接点を作ってあげたんやん。」

はあ、とこっちを見ながらため息をつく。

彼は簡単に言うと、

僕の中にいるもう1人の人格のダイキ、らしい。

この事に気づいたのは二年前。

朝いつも通り顔を洗って、ふと鏡を見ていたら

突然現れ出てきた。

悔しいけど、コイツは僕の理想像みたいなものらしく、

僕が思ってても行動にはなかなか移せない事を簡単にやってのけた。

…さっきみたいに。

僕が理性なら、彼は本能というところだろうか。

不思議なことだが、

コイツが主人格の時、どうやら僕は眠っているらしく全く記憶がない。

だからさっき、ふと気づいたら

桐山さんの隣に自分の名前が書いてあって心底驚いた。

「やからって…き、桐山さん、は、僕のこと絶対、

いや…少なくともいい風には思ってへんやろし…」

「あのさぁ、…お前いつまでそうやってウジウジウジウジしてるつもりなん？」

鏡の中で眼鏡を外して、髪の毛も手ぐしで

今の僕より一度ボサボサにしてから分けて、

上まできっちり留めてたワイシャツのボタンを3つ外した。