重岡くんとダイキ【赤】 (ページ20)

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ポカーンとしてるうちに最後のリレーが始まる。

入場してくる4人を見るとわちゃわちゃしてて楽しそう。

…いや、3人は楽しそうだけど、

重岡くんだけはきっちり体操着を着て、

ポケットからハンカチを出して汗を必死に拭ってる。

メガネは外したのか、かけていない。

「あ、きたきた！頑張れー！

神山くーん！小瀧くーん！藤井くーん！

…しげおかー」

友達のカヤノが前半3人までは元気良く言うのに、

重岡くんだけはテンションが低い。

みんなちゃんと平等に応援してあげればいいのに。

3人は手を振り、重岡くんはぼーっと応援席のこちら側を見てるだけ。

「にしてもさー、重岡がアンカーで大丈夫かね」

『…えっ？』

「え、A知らないの？

あの4人の練習の情報はずっと極秘だったんだけど、

重岡がアンカーっていうのが今朝小瀧くんのファンのおかげで漏れたんだって」

だから…さっき…。

より一層さっきの言葉が頭でぐるぐる巡る。

『っ…！重岡くん！！』

「ちょ、A？」

私が大声で叫ぶと、遠いけど重岡くんとちゃんと目が合う。

桐山さん、って口が動くのが見える。

『頑張れー！ちゃんと見てるから！』

そう叫ぶと、重岡くんはしばらくフリーズしてから

ガクガクと首を縦に振って、ちょっと笑った。

クラスのみんながどよめく。

「…A、重岡と仲よかったっけ？

てか、なにあの笑顔…ちょっとキュンと来たんだけど」

『ふふーん』

みんなの中で少しでも重岡くんのイメージが覆ったようで嬉しかった。