あなたとの距離、15cm。【緑】

＊003 ページ3

「有夏ちゃんおはよ」


「おはよー」


　


　

高校入ってから仲良くしている、有夏ちゃん。


　

「ねぇ聞いた？」


「ん？なにが」


　


クラスでもかなり目立つ存在で、

わたしが神山くんへ抱く気持ちはなに一つとして知らない。


　
まだ言えないでいる。


　



　

「神ちゃん、好きな人おるらしいで！」





……たぶん有夏ちゃんも、神山くんのこと好きなんだろうな。


　


　

「そりゃあ、いるだろうよ」


「違うんやって！それが！」


　


わたしの背中を叩き続ける有夏ちゃん。


「もうなにが？」


「それがさ、神ちゃんの好きな人って同じ中学校の人なんやて！」


「…もしかして隣のクラスの未由ちゃん？あの子昔から人気やったし」


「はぁ？あんたホンマ鈍感やなあ」


「なにが？」


「なにがって…」


　

ため息をついて、神山くんの方へ目を向ける。


　


　
「…おーい、有夏。さっきから俺の話してへんかあ？」


　

…！神山くん。


　

「ふふ、バレてもうた？」


　

有夏ちゃんは笑いながら、神山くんの方へいく。


　

神山くんが話しかけたのは、わたしじゃなくて有夏ちゃん。


有夏ちゃんは、いまとなってはわたしより神山くんと仲良し。


　

　

…どうせ神山くんの好きな人は、有夏ちゃんなんだろうな。


　

　

「秘密やろ？」


「別にええやん。神ちゃんのけちー」


　


楽しそうに話してて、


いいなぁ。


　


　

…やっぱりわたし、神山くんのこと好きでいちゃダメだよな……。









毎日の習慣みたいに、


このしんどさはやってくる。


　


　


　

＊


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