春色の夕陽【向井康二】 (ページ11)

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「せんせー、怪我人連れてきましたー」

　

康二はわたしを持ちながら平然と

保健室のドアを開けた。

　

保健の中間先生は、私たちの様子をみるなり

クスッと笑って、

ここに座り。と先生の前の椅子を指さされた。

　

　

「も、降ろしていいからっ」

「えぇー」

「あほ」

　

降ろしてもらったあと、

何だか恥ずかしくなって、

康二の肩をポンッと叩いた。

　

「おーいイチャつくなぁ。はよ座れー」

イチャついてる！？

…わたしが、？

　

というよりも、なんで康二は否定しないの？

　

「イチャついてないですよ」

けど一応否定して椅子に座った。

　

「はい、どこが痛いんですか」

「あ、足です」

「ん、じゃあ靴と靴下脱いで」

「はい、」

　

靴下を脱ぐ。

　

「あ。ほんなら康二、担任の先生にA、もう家帰らせます。って言うてきて」

「へーい」

「あと鞄持ってきて」

「ったくぅ、せんせーは人使い荒いのぉ！」

「なにいってんねん。ほらはよしぃ」

「はーい」

　

康二は何故か鼻歌を歌いながら、保健室から出ていった。

　

　

康二がいなくなってやけに静まり返った保健室。

　

　

ここか？。なんて先生に聞かれるけど

曖昧な答えしか返せない。

　

そのかわり、何故かさっきのドキドキがぶりかえしてきてる感じがする。

　

　

「ん。これでオーケー」

「…あ、ありがとうございますっ」

「けど、Aって康二と付き合っとるん？」

「へ？…いや、付き合ってないですよ！まだ康二と知り合ってから数日くらいしか経ってませんし！！」

「ははっ、否定の仕方が嘘っぽい」

　

笑う先生に、違いますよ！っていうけど

自分でも嘘みたいに思える。

　

　

「康二のこと好き？」

「…な、なにいってんですか！！先生って本当に先生なんですか？」

　

なんという発言だ。恐ろしい。

　

　

「けどええ奴やろ、康二」

「はい。めっちゃ」

「けどアイツのことも助けてやってな？」

「なにをですか？」

「んー。もしかしたら悩みとか溜めてるかもしれんし、」

「康二が？」

「そやで。せやからA、全力でサポートしぃ？」

「りょーかいです」

　

グーサインを出すと

先生も笑ってグーサインをした。

　

　

それから少しして康二が入ってきた。

　

「あーもうホンマ色々聞かれたわぁ」

　

　

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