4.偽り ページ4
数分後。
逃げるようにして来た電車に乗り込んで行った同級生を見届けて、私は助けてくれた彼に向き直った。
「ありがとうございました！」
「おん。別にええよ。せやけど、いつまでもあの子らのことあやふやにしてたらアカンで？まさかと思うけど、毎日されてんの？」
そんな問いかけに私は何事もないかのように笑ってみせる。
「もう、慣れてますから！大丈夫です」
嘘。
慣れたのは本当。
やけど、全然大丈夫じゃない。
ほんまはこんな毎日が嫌で仕方ない。
でも大丈夫だと思うことにしてる。
じゃないと私は笑顔で居られないから。
「じゃあ何で震えてたん？」
「え？」
震えてた？
私が？
「そんな事ない………」
「手、ずっと震えてた」
彼の指差した右手の平を見る。
でも、震えてなんかなくて。
今は…………何ともない。
「流星ー」
手の平から顔を上げて声のした方に振り返れば、私たちと同じ制服を着た4人の男の子の姿があった。
背の高そうな男の子が右手を大きくブンブン振ってる。
「行こ」
「え？」って、首を傾げれば差し出された手。
「いや、でもお友だちですよね？私なんかが居たら邪魔じゃ…………」
「ええの。危なっかしいから、学校まで送ったるわ」
そう言って微笑んだ先輩は返事を聞かずに、私の手を取って彼らの元に駆けていった。
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作者名：みのり | 作成日時：2017年3月5日 15時
