能面執事２【紫】 (ページ33)

今日:17 hit、昨日:1 hit、合計:487,474 hit

○ ページ33

.

無事に卒業式が終わり、

旦那様の代わりに参加した俺は、

勝手に出てきた涙を慌てて拭いて、車を取りに行った。

クラスメイトにはお嬢様であることを内緒にしてきたA様は、

迎えの車も嫌がったが、

さすがにそれは出来ないので、

学校からかなり離れた場所で待機していた。

すると、遠くから歩いてくる制服の2人。

A様、……と誰や？

近付いて来て、顔を見て驚いた。

な、なんやこいつ…

めっちゃイケメンやん…！

A様のご学友は大体把握してるつもりやったけど、

卒業式当日にまさか初めて見る顔で

しかもこんなイケメンなやつがおると思わんかったから、しばらくぼーっとしてた。

「あの、…濱田…さん？」

「はい、あ、すみません。」

そのイケメンに話しかけられて、我に帰る。

いかんいかん。

「A、すげぇ泣いたんで、

ふらふらしてるから連れてきました。」

お願いします、と涙で目が腫れてるA様を渡される。

「じゃ。」

気ぃつけてな。と、A様に一声かけて、

すたすたとイケメンは帰ってった。

泣いてる人を送り届けるとか、

イケメンは内面までイケメンなんか…！

…学ぼ。

「A様、お乗り下さい。

帰りましょう。」

ドアを開けると、タオルで顔を抑えたまま、

すっと乗り込む。

こんなことは初めてやから、どう接したらいいものか…

ふぅ、とため息をついた。